コロナ対策などにネットで話題の松葉とは? 抗ウイルス効果や血栓抑制作用など【科学的根拠・論文引用あり】

ニュース/レビュー

執筆日:2021年6月22日、更新日:2021年8月20日

松といえばその風情と気品から庭に植えたりお正月に飾ったりと親しまれていますが、松の実や松葉茶は体にとってメリットがあることが古くから分かっており、食用としても使われています。

松のサプリとしては、樹皮の強力な抗酸化成分であるパインバーク、フランス海岸松のピクノジェノールがありますが、樹液の有機硫黄成分のMSM(メチルサルフォニルメタン)も松から抽出したものもあります。

松は生命力が強く(=保護作用が強い)、抗酸化物質など人の体にも役立つ成分が多いです。
ですから松葉茶はアメリカンインディアンからアジアなど世界中の人々の間で、健康の一助となっていました。
と松にマツわる話はここまでにして、今回は松の葉(緑色の細い葉)の健康メリットについてたくさんの論文が出ておりますので、それをレビューしてみました ♫

松葉茶の成分

松葉茶(Pine Needle Tea)には
・オレンジジュース一杯分より4〜5倍も多いビタミンC
・ビタミンA
・ビタミンK
・24種のアミノ酸
・鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラル
・クロロフィル
・タキシフォリン(ケルセチンの一種)
・プロアントシアニジン(タンニン)やカテキンなどのポリフェノール
・SOD(スーパーオキシドディムスターゼ)など抗酸化物質
・αー、βーピネンなど松精油の主成分
・デヒドロアビエチン酸(DAA)、7 α -メトキシデヒドロアビエチン酸
・シキミ酸

などなど多くの栄養や成分が含まれています。
そのため抗酸化、抗炎症、抗菌、細胞修復、抗がん作用などが期待されていたり、
呼吸器系のケア(アメリカンインディアンは去痰、呼吸器感染症の治療に利用)
鼻炎、鼻づまり
目の健康
デトックス
免疫調節
記憶や認知機能など脳の健康
・LDLの酸化防止、抗炎症、抗血栓作用により心血管系の健康維持(特に赤松)【 血液サラサラ効果は〇クチン接種者にも役立つ可能性
・胃潰瘍
・腎臓の健康 利尿など
・糖尿病の予防
・ダイエット、脂肪燃焼
・滋養強壮、疲労回復
・鎮痛
・歯槽膿漏
・皮膚炎など肌の保護(βーピネン)
・リラックス

…などなど、昔から仙人も好んだ不老長寿のお薬として利用されていたと言われています。

これだけでも普段から摂りたくなりますが、どんな研究がされているか見ていきます。

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松の葉や皮の抗ウイルス作用

2020年の研究で( Antiviral Activities of Compounds Isolated from Pinus densiflora (Pine Tree) against the Influenza A Virus )、赤松の皮と葉から抽出した26の成分から、インフルエンザAのウイルスmRNAを阻害したり、細胞膜表面にウイルスをとどまらせて死滅させるようにノイラミニダーゼ(NA)阻害したりする成分がいくつかあり、抗インフルエンザA薬の候補になりうることがわかりました。

赤松Pinus densiflora)は韓国や中国など東アジアに分布し、滋養強壮や脳卒中、記憶の改善から疲労うつがんなどの慢性疾患などの改善に、漢方薬として用いられます。成分としてα-ピネン、β-ピネン、カンフェン、リモネン、ボルネオール(6.8%)、酢酸ボルニル(3.8%)、桂皮酸、安息香酸などのエッセンシャルオイル(0.3〜1.3%、酸化防止、老化防止) 、フラボノイド、アビエタンジテルペノイド、スチルベノイド(抗菌・抗真菌)、メガスチグマン配糖体などが葉に含まれています。

今回抽出した26の成分は2つの新しいメガスチグマン配糖体、23のジテルペノイド、3つのフラボノイドで、フラボノイドはノイラミニダーゼ(NA)阻害により抗ウイルス作用を示しました。またジペルテンはウイルスの常食に必要なタンパク質の遺伝子発現に影響する可能性があり、成分5は特に抗炎症作用もあり(他のジペルテンも抗炎症作用のある可能性はある)。特に成分5(7 α -methoxydehydroabietic acid)と24(アンペロプシン(フラボノイド))はCPE阻害アッセイとNA阻害アッセイで一番強い活性で、ウイルスの増殖とマルチターゲティングによるNO(一酸化窒素)産生も効果的に阻害しました。

ポリプレニルリン酸

また2021年の New Approaches to the Prevention and Treatment of Viral Diseases のレビューでは松葉のポリプレニルリン酸(リン酸化ポリプレノール)がアデノウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、HIV、ダニ媒介性脳炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型・2型一部のコロナウイルスなどインビボ、インビトロで幅広い抗ウイルス活性があるとしています。ポリプレニルリン酸でウイルスを処理すると蛋白合成の阻害によってウイルスが壊れます。広範囲の抗ウイルス活性がありますが、特にプレニル化タンパク質を含むウイルスにより効きます。つまりウイルス感染症の予防や治療、脂質異常症の改善に安全で効果的な薬と見なすことができるということです。

シキミ酸

また松葉にはシキミ酸が含まれています。(前出:Antithrombosis activity of protocatechuic and shikimic acids from functional plant Pinus densiflora Sieb.

シキミ酸は環状ヒドロキシ酸で芳香族化合物 やリグニン が作られる経路の中間体で、ほとんどの植物に含まれますが、特にフェンネル、スターアニス(八角)に多いです。八角は漢方薬として咳止め、風邪、健胃などに用いられますが、抗インフルエンザ薬のタミフルの原料ともなります。タミフルは八角から抽出されたシキミ酸を10段階を経て合成、製造されます。

シキミ酸はシキミ酸だけでは抗ウイルス作用はないですが、ケルセチンと組み合わせると少ない量でも自然免疫がしっかり働くように助けてくれると言う論文もあります。Immunomodulatory activity of shikimic acid and quercitin in comparison with oseltamivir (Tamiflu) in an in vitro model.

タキシフォリン

松葉にはタキシフォリン(ジヒドロケルセチン)という活性の高いケルセチンが含まれており、コックサッキーウイルスに対する抗ウイルス作用が認められています。ANTIVIRAL ACTIVITY OF THE DIHYDROQUERCETIN DURING THE COXSACKIEVIRUS B4 REPLICATION IN VITRO

タキシフォリンはフリーラジカルによるDNAのダメージから守ってくれることが分かりました。Antigenotoxic Effects of Biochaga and Dihydroquercetin (Taxifolin) on H2O2-Induced DNA Damage in Human Whole Blood Cells.

タキシフォリンはケルセチンより毒性が低く変異原性はなく、遺伝子の上流にある抗酸化剤応答配列を活性化することでがんを抑制する遺伝子を調節してくれるかもしれないとのことです。The Chemopreventive Effect of Taxifolin Is Exerted through ARE-Dependent Gene Regulation.

またタキシフォリン血圧を下げることも知られているので、血圧に関係するACE2を受容体にするcovid-19の防御にも期待が集まっています。Mechanisms Modified by (−)-Epicatechin and Taxifolin Relevant for the Treatment of Hypertension and Viral Infection: Knowledge from Preclinical Studies.

松葉の抗血栓作用

2016年の研究 Antithrombosis activity of protocatechuic and shikimic acids from functional plant Pinus densiflora Sieb. では、松葉と発酵松葉エキスから分離したプロトカテク酸シキミ酸には、繊維を溶かす作用とフィブリンの形成を阻害することでマウスで抗血栓作用を示しました。しかも一般的な抗血清成分とは違って、マウスのしっぽの静脈出血を起こしませんでした。松葉と発酵松葉エキスは抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗コレステロール作用、胃腸運動制御、線維素溶解作用などさまざまな薬理学的活性を示すことが報告されています。

松葉の抗がん作用・抗酸化作用

2006年の研究  Mechanisms Modified by (−)-Epicatechin and Taxifolin Relevant for the Treatment of Hypertension and Viral Infection: Knowledge from Preclinical Studies.、赤松の抗がん作用を細胞とマウスで評価したところ、松葉の強力な抗酸化、抗腫瘍、抗変異により腫瘍を減らすことがわかりました。細胞実験で松葉エタノール抽出液は鉄による脂肪の酸化を有意に減らし、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルラジカル(DPPH)を除去する抗酸化作用がありました。また2-アントラミン、2-ニトロフルオレン、アジ化ナトリウムによる変異を効果的に阻害しました。肉腫細胞を入れたマウス、乳がん物質で処理したラットに、5%の松葉粉末を加えた餌を与えると腫瘍の形成が抑えられました。

2009年の研究 Effect of extracts from pine needle against oxidative DNA damage and apoptosis induced by hydroxyl radical via antioxidant activity. では松葉の水抽出物に抗酸化、DNA保護作用があることがわかりました。
ヒドロキシルラジカルによるDNAダメージとアポトーシスからの保護効果を細胞実験で調べたところ、ヒドロキシルラジカルと活性酸素種(ROS)を取り除く作用が強く、Fe2+イオンのキレート作用も示しました。またヒドロキシルラジカルによるDNAダメージを抑えました。またアポートーシス関連で、p21(細胞周期阻害因子)とBAXタンパク質(Bcl-2結合Xタンパク質)の発現を下げ、PARP(ポリADP- リボースポリメラーゼ)をブロックし、Bcl-2タンパク質(抗アポトーシスタンパク質)を増やすことで細胞を酸化ダメージから守りました。

2011年の研究 Antioxidant activity and analysis of proanthocyanidins from pine (Pinus densiflora) needles では、赤松の葉をお湯で抽出したものが最もプロとシアニジンとカテキンが多く、抗酸化活性があったことがわかりました。

松葉とアンチエイジング

2019年の研究 Dehydroabietic Acid Induces Regeneration of Collagen Fibers in Ultraviolet B-Irradiated Human Dermal Fibroblasts and Skin Equivalents. によると、赤松などに含まれるデヒドロアビエチン酸(DAA)がコラーゲン繊維の生成や保護を通してお肌を光による老化から守ることが皮膚の細胞による実験でわかりました。デヒドロアビエチン酸は松脂の成分で、DAAとその誘導体は糖尿病や高脂血症を改善するという報告があります。この研究ではヒト皮膚線維芽細胞にUVBを当ててからDAAで処理すると真皮のコラーゲンの量、大きさ、配置が増えることが分かりました。

松葉に含まれるカテキンと高血圧との関係

2017年の研究の論文では(Bioactivity-Guided Fractionation of Pine Needle Reveals Catechin as an Anti-hypertension Agent via Inhibiting Angiotensin-Converting Enzyme.   ← オープンアクセス:論文全文が閲覧可)では、

ラットに松葉エキスを与え、ACE阻害活性(ACEとACE2は違う。同じ反応経路の前段階の酵素)があるか調べました。ACEアンギオテンシン転換酵素, angiotensin converting enzyme)を阻害すると血管が拡張し血圧が下がるので、高血圧の薬としてACE阻害剤がよく利用されます。しかしこれは副作用があるので、安全で効果のある候補として、すぐれた心血管保護効果があるとされる松葉を調べたのです。そして実際この実験で松葉のカテキンがラットの腎臓や肺、精巣でACE阻害活性を持つことが証明されました。高血圧は心血管疾患や網膜症、脳卒中、腎障害などにより死に至る可能性があります。そして松葉に含まれるフラボンの一種であるカテキンACEを阻害することで心血管障害の治療に使えるかもしれないということです。

 

ACEを阻害するとACE2が増えるという論文がある

興味深いのはACEを阻害するとACE2が増える(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15897343/)ことです。ACE2とは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質がくっつく受容体として有名になりました。松葉を摂るとコロナや〇クチンへの影響はあるのでしょうか・・・

ネットの裏の情報によれば、日本人は他の人種より細胞1個あたりのACE2の数が多いため、逆に新型コロナは結合しなかったというものがあります(ラボの培養実験ではACE2の発現が高い細胞のほうが、コロナの感染率が高いというデータが出ていたにもかかわらず)。つまり日本人はACE2が多すぎたため、ラボの実験とは予想外の結果となったということです(つまりあまり感染しなかったのです。ファクターXの1つとなり得るかも)

スラミンについて

松葉茶:スパイクタンパク質感染の解毒剤の可能性英語記事
という興味深い記事があります。
それによると松葉のスラミンがRNAとDNAの不適切な複製や修飾に対して抑制効果があり、スパイク蛋白を解毒してくれるかもと。また抗凝固成分でもあり血栓からも持ってくれるかもとあり、素晴らしいなあと思ってスラミンを調べてみました。
スラミンはアフリカ睡眠病などを起こすトリパノソーマという寄生虫のお薬です。
最近の論文 Structural basis for inhibition of the SARS-CoV-2 RNA polymerase by suramin
でも強力な逆転写酵素阻害活性もあるので、酵素とRNAがくっついて転写されないようにすることでウイルスの増殖を減らすことが分かったそうです。
ますます良さげだったのですが、 残念ながらスラミンは自然界には存在しないことが分かりました。

化学的な合成薬剤のようです(Naviauxのデータ)がーーーーん 😯
その化学名は
スラミン = 8,8′-(カルボニルビス(イミノ-3,1-フェニレンカルボニルイミノ(4-メチル-3,1-フェニレン)カルボニルイミノ))ビス-1,3,5-ナフタレントリスルホン酸)

スラミンはトリパンブルー由来で、トリパンブルーはトルエンの誘導体と記事には書いてあります。確かにスラミンはトリパンブルーの色のないタイプの類似体で、トリパンブルーもその名の由来通りトリパノソーマの薬と性質も良く似ています。トリパンブルーは実験で死んだ細胞を染めるのに使っていましたが、ちょっとトキシック(毒)です。そしてトルエンは最初に松の油から分離されました。しかしトリパンブルーもトルエンを元にしているかもしれませんが、アゾ色素という合成染料です。

構造を見れば違いが一目瞭然です。(下の構造をクリック/タップすると構造が描いてあるページにジャンプします)
トルエンの構造
トルイジンの構造
トリパンブルーの構造
スラミンの構造

重度の副作用として、低血圧意識レベルの低下、腎不全血細胞レベルの低下など[4]授乳中のヒトへの投与の安全性ははっきりわかりません[2]

ということで、トルエンやトルイジンの芳香環にいろいろな分子を加えて作られたのがトリパンブルーやスラミンで、全く別物です。
そしてスラミンが松葉由来というのは、上記の記事以外他のソースからは見つかりませんでした。

もしかしたらスラミンと似たような物質が松葉に入っているのかどうか・・・はわかりませんが、スラミンはともかく松葉には抗ウイルス作用、抗血栓作用、免疫強化作用、抗炎症作用を報告した論文があるので、コ〇〇やポクチンの影響を和らげてくれる可能性は十分にあると思います。

やはり炎症や酸化を促すような物(油や砂糖やステルス毒)はなるべく避け抗酸化・抗炎症のある野菜、発酵食品や和食食材たっぷりな食事やサプリで、免疫を正常に働けるようにしたり、血液をさらさらにしたりしておくのが大切かと思われます。さらに松葉茶も取り入れたら最強ですね。

それではみなさん、日本人としての生まれたことを感謝し、松関連の食材を食べ、感染症に負けないようにしましょう‼️

 

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