毎日コーヒーを飲んでもがんのリスクは低下しなかった!? 30万人調査結果 (2019年最新論文)
ニュース/レビュー
最近の報告ではコーヒーを毎日飲んでいるとガンのリスクが下がるという論文が発表されていましたが、今回はもっと大規模に調べてみたら(30万人以上)ガンのリスクは下げることもなく、またガンのリスクを上げる事もないという結果が報告されました。
オーストラリアのブリスベンにある医学研究所がその最新研究を論文に発表し、またそのレビュー記事(英文)を研究所のサイトにリリースしました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
ニュースタイトル「毎日のコーヒーを飲んでもがんリスクに影響しません」
コーヒーを飲んでも、ガンと診断されたり死亡したりするリスクが変わることはありません、とQIMRバーグホーファー (Berghofer) 医学研究所の新しい研究が発表されました。研究成果は International Journal of Epidemiology 誌に掲載されました。
研究の責任者であるQIMR バーグホーファーの統計遺伝学グループの准教授であるStuart MacGregor准教授は、大規模なメンデル無作為化研究では30万人以上の人々のデータを調べ、毎日コーヒーを飲むことによってがんのリスクが減少も増加もしなかったと述べた。
「コーヒーが世界で最も人気のある飲み物の1つであることを私たちは知っています、そしてそれが病気の中で果たす役割についての複雑なメッセージがあり続けています」とMacGregor准教授は言いました。
「コーヒーの好みは遺伝であることが分かっています。」
「私たちの二面調査では、① 自己申告によるコーヒー消費のレベルが異なるとがん発生率が異なるかどうか、および ② 自己申告による消費をコーヒー消費に対する遺伝的素因に置き換えた場合と同じ傾向が見られたかどうかを調べました。」
「1日にコーヒーを何杯飲むかと、特定のがんが発生したかどうかには、実際の関係はありません。」
「この研究では、コーヒーの摂取量と病気で亡くなることとの関連も排除された」と述べた。
コーヒーにはカフェインやカーウェオールのような生物活性成分の複雑な混合物が含まれています。これらは動物実験で抗腫瘍効果を示すことが証明されています。
しかしながら、ヒトに対するその潜在的な抗がん効果は確立されておらず、今日までの研究は全体的ながんのリスクと乳がんや前立腺がんのような個々のがんについては相反する結果をが出ています。
QIMR Berghoferの研究では、英国のバイオバンクコホートから収集したがんのデータを使用して、最も侵襲性のがんの種類と診断された46,000人以上の人々を含みます。
がん患者からの遺伝情報および嗜好情報は、がんと診断されたことがない他の27万人以上からのデータと比較されました。
QIMR Berghoferの主任研究者であるJue-Sheng Ongは、この研究では乳がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がんなどの一般的ながんも調べたところ、コーヒーを飲んでも発生率が増減しないことがわかった。
「結腸直腸がんについては決定的な証拠がいくつかありました。多くのコーヒーを飲んだと報告した人は、がんを発症するリスクがわずかに低かったが、逆に多くのコーヒーを飲む傾向がある遺伝的素因が高い方がよりこの病気を発症する危険性があるように考えられた」とオング氏は述べた。
「大腸がんについては決定的な証拠がいくつかありました。コーヒーをたくさん飲んだと報告した人は、がんを発症するリスクがわずかに低かったのですが、逆に多くのコーヒーを飲む遺伝的素因が高い人のデータは大腸がんをさらに発症する危険性を示すように見えました」とオング氏は述べた。
「これらの調査結果の不一致は、大腸がんとコーヒーの間に何らかの関係があるかどうかを明らかにするためにより多くの研究が必要であることを示唆するでしょう。」
MacGregor准教授は、この研究は世界中の公衆衛生メッセージングに影響を及ぼしていると述べた。
この研究は世界中の公衆衛生のメッセージに意味を持つものです。
「コーヒーの健康上の利点は長い間議論されてきましたが、この研究は単にあなたのコーヒー消費量を変えることががんから身を守るための効果的な方法ではないことを示している」と述べた。
- オーストラリア統計局健康調査の数字は、2011〜12年にオーストラリアの人口の46%がコーヒー(代替コーヒーを含む)を消費したことを示しています。
- オーストラリア – ニュージーランドの食品規格によると、カフェインについて許容される毎日の摂取量など、健康に基づくガイダンスとして認められている値はありません。
- 2018年8月の声明の中で、米国食品医薬品局は、現在の科学がコーヒーの摂取ががんの重大な危険をもたらさないことを示していると述べた。
- 英国のバイオバンクコホート研究は、人口ベースのコホート研究で、2006年から2010年までに英国全体で約50万人が参加しました。QIMR Berghofer分析は、適切な遺伝的データおよびコーヒー消費量データを有する438,870人の白人イギリス人参加者に限定されていた。
引用ニュース&原著論文
🔵 英語ニュース:Daily coffee doesn’t affect cancer risk(Medicalxpress)July 18, 2019🔵 原著論文 : Association between coffee consumption and overall risk of being diagnosed with or dying from cancer among >300 000 UK Biobank participants in a large-scale Mendelian randomization study.
International Journal of Epidemiology, dyz144, https://doi.org/10.1093/ije/dyz144
Jue-Sheng Ong, Matthew H Law, ・・・,Rachel E Neale, Stuart MacGregor
Aβ and tau prion-like activities decline with longevity in the Alzheimer’s disease human brain, (Science Translational Medicine 01 May 2019:Vol. 11, Issue 490, eaat8462 )
Seigoの追記
コーヒーを飲むと大腸がんのリスクが低下するいう論文はロサンゼルスにあるUSC(University of Southern California)という大学が発表した論文が有名です。– コーヒー摂取量と大腸がんのリスク (Coffee Consumption and the Risk of Colorectal Cancer)
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2016 Apr;25(4):634-9. doi: 10.1158/1055-9965.EPI-15-0924.
Schmit SL, Rennert HS, Rennert G, Gruber SB.
(オープンアクセス;全文が無料でご覧になれます。PDF書類はこちら。)
このUSCの調査した人々はイスラエル北部のユダヤ人が多かったようです(約5000人)。
そして今回の報告では英国からのデータを調べ、その人数は60倍の30万人でした。
もしかしたら人種によってコーヒーに対する感受性が違うのかも知れませんね。
私はコーヒーのカフェインが体に触るので飲みませんが・・・😅
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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