チョコレート(カカオニブ)の健康効果/調理法まで徹底解説【論文の裏付けデータあり】
カカオニブってご存知でしょうか?
チョコレートの原料となるカカオ豆の胚乳部分。
つまり実のところ、グローサリーでは砕いて売ってます。
今回はこのカカオニブについて勉強していきましょう。
科学的に証明されているカカオニブの健康効果を学術論文の引用と一緒にお伝えしていきます。
このデーターはHealthLineからのレビュー記事(英文)を、このサイトで翻訳したものです。
記事中の括弧内にはその情報元となった論文やレビューが引用されています。
これが情報の信頼度を上げ、皆さんがこのデータを活用するときに裏付け証拠となりますので、ぜひご活用下さい。(ただ引用先は英語です 😅 )
この記事のもくじ
レビュータイトル「カカオニブとは?栄養、メリット、調理法まで解説」
英文執筆者: Jillian Kubala (理学修士/管理栄養士)
カカオニブはカカオ豆(cocoa beans)を砕いたもので、ほろ苦いチョコレートの風味がします。カカオニブは、カカオの木としても知られるテオブロマカカオの木からできた豆で作られています。カカオ豆は収穫の後に乾燥し、発酵され、濃い色をした小さな粒(すなわち、カカオニブ)にする為に砕かれます。
カカオニブにはローストしたものと、していないものがあります。ローストされていないカカオニブは「生のカカオニブ」と呼ばれています。
このような濃厚で、チョコレートの風味があるニブには栄養素とたくさんの植物成分が含まれています。この植物成分はさまざまな面で健康に役立つことが示されてきました。
この記事ではカカオニブについて、その栄養素、メリット、食べ方まで解説していきたいと思います。
カカオニブの栄養素
サイズは小さいですが、カカオニブは栄養がたっぷり含まれています。
カカオニブはココアの市場の中でも最も加工がされておらず、他のチョコレート製品よりも砂糖が大幅に少ないため、チョコレート好きがより健康的にチョコレートを食べることができます。
カカオニブ28g (1オンス) あたりに含まれる成分 (1)
カロリー: 175(100g当り625kcal)
タンパク質: 3g
脂質: 15g
食物繊維: 5g
糖類(Sugar): 1g
鉄: 6% RDI(1日のオススメ摂取量)〔6%とは1日摂らなくてはいけない量の6%が28gのチョコで摂取できるという意味〕
マグネシウム: 16% RDI
リン: 9% RDI
亜鉛: 6% RDI
マンガン: 27% RDI
銅: 25% RDI
また、カカオニブには食物繊維やタンパク質、そして体に良い脂肪など、満腹感にしてくれる栄養素がたくさん含まれています (2)。
カカオニブは鉄やマグネシウム、リン、亜鉛、マンガン、そして銅などのミネラルを豊富に含みます。マグネシウムは体内で300以上もの酵素反応に関わっているミネラルですが、人の食事に不足しています (3)。
リンやマグネシウム、マンガンは健康的な骨に欠かせません。一方で銅や鉄は、体内に酸素を供給する赤血球を生み出すのに必要です (4)。
加えてカカオニブには、健康に多くのメリットがあるフラボノイド抗酸化物質などの植物成分でいっぱいです (5)。
要点
カカオニブは栄養価が高く、目を見張るほどのタンパク質や食物繊維、体に良い脂肪、ミネラル、フラボノイドのような植物成分を与えてくれます。
抗酸化作用がある
抗酸化物質とは、フリーラジカルと呼ばれる多くの分子によって引き起こされる(酸化による)ダメージから、細胞を守る助けをする化合物のことです。
フリーラジカルが抗酸化物質を(量的に)上回ると、心臓病やある種のガン、精神機能の低下、および糖尿病のような数多くの慢性的な症状に結び付くとされている酸化ストレスが起こります (6, 7)。
カカオニブには抗酸化物質がたっぷり入っています。この抗酸化物質は、エピカテキンやカテキン、プロシアニジンといった、フラボノイドと呼ばれるポリフェノール系の抗酸化物質である類がこれに含まれます。
実際に、ココアとチョコレート製品はどんな他の食べ物よりもフラボノイドを多く含んでいます (8)。
フラボノイドはさまざまな健康的なメリットと関係があります。例えば、フラボノイドを食事で多く摂取した人は心臓病やがん、精神機能の低下にかかる割合が低いことが研究で示されています (5)。
カカオニブやその他のカカオ製品はフラボノイドが多いので、食べものからの抗酸化物質を摂取するのに大変役に立ちます。
要点
カカオニブは、エピカテキンやカテキン、プロシアニジンを含んだフラボノイド抗酸化剤を豊富に含みます。
カカオニブのメリット
栄養価が高く抗酸化物質が豊富なので、カカオニブはさまざまな健康のメリットと結びつきがあります。
抗炎症性
短期間の炎症は、体の防衛システムにとって重要であり、怪我や病気を保護する助けとなります。一方で、慢性炎症は有害であり、心臓病や糖尿病といったさまざまな健康状態に関連しています (9)。
フリーラジカルが増えてしまうと、慢性炎症を引き起こす可能性があります。カカオニブのように、抗酸化物質を多く含む食べ物はこのような影響と闘う支えになってくれます (10)。
カカオニブやココア製品は強力な抗炎症作用があります。例えば、ココアのポリフェノールは炎症応答で極めて重要な役割を持つタンパク質(NF-kB)の活性を減らします。 (11)
試験管内と動物を用いた実験では、ココアのポリフェノールが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)やインターロイキン(IL-6)といった炎症マーカーの値を効果的に減らすことが実証されました (12, 13)。
同様に、ココアも炎症マーカーを減らすことができると人体実験で示されています。
44人を対象にした4週間にわたる実験では、ポリフェノール1グラムあたり13.9ミリグラム含むココア製品を1オンス(30g)を摂った被験者は炎症マーカーの水準が低下することが分かりました (14)。
免疫力を上げる可能性がある
有力な抗炎症作用があり、抗酸化物質であるカカオニブは免疫にも良い影響をもたらす可能性があります。調査では、ココアが免疫に有益な影響をもたらすことが示されています。例えば、ココアのフラボノイドは炎症を減らすのを助け、全体的に免疫反応を改善するサポートをしてくれます(15)。
また、ココアは腸のリンパ組織(GALT)の機能をも増進する可能性があります。GALTは人体の腸部分のあらゆる所に位置する免疫系の重要な部分です。このGALTは体内の免疫細胞の約70%を含んでいます(16)。
動物実験では、ココアがGALTに良い影響をもたらすことにより、食物アレルギーに保護効果を与える影響がある可能性を実証しました。
ココアを多く含む食事は、食物アレルギーを防ぎ、腸の健康を維持するのに役立つ腸の特別な層の機能を高めることによって、経口抗原(毒素やアレルゲン)に対する感受性を低下させることが証明されています (17)。
ネズミを対象にしたある実験では、ココアを多く含む食事が、免疫システムを強化することにより、アナフィラキシーなど重篤なアレルギー反応につながる抗体や炎症分子の放出を抑制することがわかりました(18)。
このような結果により、カカオニブのようなココア製品は食物アレルギーや、他の免疫の病気を持つ人にとって特に役立つことが示唆されています。しかし、この分野はさらなる研究が必要です。
血糖コントロールにメリットがある可能性がある
カカオは、血糖コントロールに問題を抱える人にメリットがあるかもしれません。人体実験ではココアが血糖コントロールを調節し、細胞が血糖を吸収するのを助けるホルモンであるインスリンに対する感度(インシュリン抵抗性)を改善できることがわかりました。
60人を対象にした研究では、高ポリフェノールダークチョコレートを8週間にわたって毎日1オンス(25グラム)食べた人たちは、プラセボグループに比べて、空腹時の血糖値とHbA1c(長期的な血糖値コントロールのマーカー)の大幅な減少を経験しました(19)。
その上、50万人超えの人々を対象にした最近の再調査では、一週間あたりチョコレート2杯分の摂取が糖尿病のリスクを25%減らすこともわかりました (20)。
Cacao nibs (カカオ豆のを砕き挽いたもの)は血糖値調整の為に使われる最高な製品の1つです。その理由は血糖値を安定させる抗酸化物質が多く、余分な糖分が含まれていないからです。
心臓の健康を改善する可能性がある
多くの研究では、カテキンやアントシアニンを含むココアのポリフェノールが多くの面で心臓の健康に役立つことがわかりました。ココアは、人体研究で高血圧や高コレステロール値などの多くの心臓病誘発因子を減少させると示されてきました。
20の研究のレビューでは、フラボノイドを豊富に含んだココア製品を摂取することが、2〜18週間著しく血圧を減らすこと(2〜3mm Hg)と関係していることがわかりました(21)。
また、ココアの摂取はLDL(悪玉)コレステロールと炎症を減少させながら、血管機能、血流、およびHDL(善玉)コレステロールを改善し、心臓病から保護することが示されています(22)。
実際に、集団調査ではココアの摂取が心臓麻痺や冠動脈疾患、発作のリスクが減ることに繋がっていることがわかりました(20, 23)。
抗がん作用
カカオニブに詰まっている有力な抗酸化物質は抗がん特性を持っている可能性があります。エピカテキンやカテキンなど、ココアの抗酸化物質は炎症を軽減し、がん細胞の広がりを防ぎ、ある特定のがん細胞を殺してくれます。
例えば調査では、ココアを豊富に含んだ食事が結腸がん細胞の広がりを止め、齧歯動物の結腸がん細胞を殺しました (24)。
試験管と動物を用いた実験でも、カカオ豆が肺や前立腺のガンに対して保護効果があることが示されています (25, 26)。
加えて集団調査では、カカオニブに見られるフラボノイド抗酸化剤を多く摂取することと、卵巣や肺のガンを含んだ特定のガンのリスクを下げることと関係があることが示されています (27, 28)。
要点
カカオニブや他のココア製品は抗炎症の効果を与え、免疫システムを高め、糖尿病や心臓病、ある特定のガンを防いでくれます。
カカオニブの安全上の注意
カカオニブは一般的には食べても問題ないですが、副作用の可能性は考慮すべきです。カカオ豆には刺激性のあるカフェインや、テオブロミンが含まれています。このような化合物は体に良い面もありますが、過剰に摂取すると副作用を引き起こしてしまう可能性があります (29, 30)。
ゆえにカカオニブを食べ過ぎると、不安や苛立ち、睡眠障害など過剰なカフェイン摂取に関する副作用を引き起こす可能性があります。しかし、正常量の摂取であれば、このような問題は極めて起こりにくいです。
お子様や妊婦の方、授乳中の女性はカフェインのような刺激のある作用には耐性がより弱いということは留めておきましょう。
さらに、ココアの抗酸化物質には動脈管と呼ばれている胎児の血管に対する収縮効果があるため、妊婦の後期においてはココア製品の摂取は若干の懸念があります。
ですので、妊娠中の女性はカカオニブを食する前に、医療機関に相談をしておくべきでしょう (31, 32)。
最後に、もしあなたがアレルギーや、チョコレートや食物に含まれるニッケルに敏感な体質であれば、カカオニブは避けるべきです。
要点
過剰に摂取した場合に副作用を引き起こす可能性のある刺激物がカカオニブには含まれています。
また、もしあなたが妊娠中や授乳中、あるいはチョコレートや食物に含まれるニッケルに敏感な体質であれば、カカオニブを避け、注意するようにしましょう。
カカオニブの調理法
カカオニブは他のチョコレート製品に比べ、極めて糖質が少なく、健康的なメリットがたくさんあります。
カカオニブはお店やオンラインなどどこでも手に入りやすく、甘いものから、ピリッとした風味の料理にまで何にでも取り入れやすいです。
しかし、カカオニブには甘味が無いので、コクがあり、最も濃いチョコレートよりも苦い風味であることを留めておきましょう。
この為、レシピに普通のチョコレートの代わりにカカオニブを使う際は、甘さを調節した方が良いです。
以下はカカオニブを使ったいくつかの調理法になります。
・カカオニブをお気に入りのスムージーに入れる
・マフィンやパンのような焼きものの中にカカオニブを入れる
・自家製のナッツバターとカカオニブを混ぜる
・朝食のオートミールにカカオニブをかき混ぜる
・エネルギー補給食としてナッツやドライフルーツにカカオニブを混ぜる
・ラテやカプチーノのようなコーヒーにカカオニブを加える
・バーベキューソースやモーレのような風味の良いソースにカカオニブを使用する
・独特な香りにするために、ステーキや鴨肉をカカオニブの粉砕で覆う
・ホットチョコレートや自家製のナッツミルクにカカオニブを混ぜる
・元気の源として、カカオニブをココナッツやアーモンドバター、デーツピューレに取り入れる
・グラノーラレシピでチョコレートチップの代わりに、カカオニブを使う
・ヨーグルトの上にトーストしたカカオニブを振り掛ける
ご覧の通り、カカオニブを楽しむための調理法はたくさんあります。
ご自宅のキッチンでこのようなココア製品を使って実践してみて、栄養価の高い、個性的で美味しく作れる方法を見つけてみましょう。
要点
カカオニブは、スムージーや焼きもの、肉料理や飲み物を含め様々な料理に合います。
結論
カカオニブは、カカオ豆を砕いて作った、栄養価の高いチョコレート製品です。カカオニブは酸化的ストレスや炎症を軽減する抗酸化物質を非常に多く含みます。
カカオニブなどココア製品は、他の健康的なメリット同様、心臓病や糖尿病のリスクを減らすこととも関係してきました。
カカオニブをバランスの良い食事に取り入れると、健康に良いだけでなく、チョコレート欲も満たしてくれるでしょう。
引用されたレビュー記事
🔵 英語ニュース:What Are Cacao Nibs? Nutrition, Benefits, and Culinary Uses(Healthline)ネットから手に入る有機のカカオニブ
コンビニやスーパーで有機のチョコレートやカカオニブを見つけるのは難しいですが、ネットで有機製品を見つけましたので写真とリンクを貼っておきます。
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有機のチョコレートとロー(生の)チョコレート(砂糖不使用)
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Seigoの追記
カカオの学名の語源の説明:テオブロマ・カカオ (学名:Theobroma Cacao):“テオブロマ”とは「神々の食物」を意味するギリシャ語に由来する属名で、“カカオ”は種名を示しています。(引用:チョコレートンの語源、日本チョコレート・ココア協会)
ヘルシーなチョコレートランキングの記事もありますので、ご参考までに ↓
【追記:2021年8月】私が最近ハマっている日本のAmazonで手に入るチョコレートはこれです ♫
↓ ↓ ↓
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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