NMNの類似体「NRサプリ」のすごすぎる効果! たった3週間で一生頭が良くなる!? (2019年米国研究)

ニュース/レビュー

今回はあるたった1つのサプリメントを約3週間使用しただけで、母子ともに健康になり、その時授乳した小友は一生頭が良く長寿になったという、奇跡のような研究報告です 😄

研究は米国アイオワ大学で行われ、その最新論文のプレスリリース(英文)が出されました。

今回はそのプレスリリースを翻訳しましたので、ここでご紹介します。

ニュースタイトル「サプリメントがマウスのミルクが母子の健康や行動に良い効果を与える」

NRの構造(出典:Wikimedia Commons)


アイオワ大学の新しい研究によると、授乳中の母マウスにニコチンアミドリボシドNR)と呼ばれるサプリメントを与えることは母子ともに身体的・行動的に有益です。

NRを投与した母マウスは、投与されなかった母よりも早く体重が減少し、より多くの母乳を出しました。またNR母乳の量を増やすだけでなく、品質を高め、脳の発達を促すタンパク質因子も多く含みました。

利点はNRを投与された母マウスに育てられた子マウスは際立って長生きすることでした。子マウスはサプリメントを摂取していない母マウスから育った子マウスよりも大きく、そしてより体の代謝が良かったです。その子マウスが成長すると、より良い運動協調より良い学習力および記憶力を維持し、そしてストレスに対してより強くより回復力がありました。すべての子マウスは独り立ちして同じように扱われ、NRは与えられなかったにもかかわらず、NRを投与された母マウスの子孫は、成人期を通じて身体的健康脳の発達、および行動の面で他のマウスに抜きん出て優れていました。

研究は長期的な影響を強調

授乳中(出典:Photo by Nathalie SPEHNER on Unsplash)


この研究結果は1月22日の Cell Reports 誌に発表されたものですが、NRには幼児期の発達を持続的に改善すべく可能な方法で、母乳の量と質を改善する可能性があることを示唆しています。

NRサプリメントで母マウスの微量栄養を改善すると母乳の量と質が高まり、子マウスが目を開けて動き始めた日からNRの子マウスに及ぼす影響が明らかになりました」とアイオワカーバー医科大学のUI教授で生化学の責任者(UI professor and head of biochemistry at the University of Iowa Carver College of Medicine)で本研究主任研究者であるチャ―ルス・ブレンナー(Charles Brenner)教授は、「今、私たちはNRが女性の母乳の分泌を安全に増加させる可能性を調べたいですし、そしてNRを摂取することがマウスやラットで見られたように、人の母乳中の生物活性因子のレベルを増加させる可能性を知りたいのです。」と述べています。

NRは2004年にBrenner教授が発見したビタミンB3の一つのフォームです。「NRマウス」は非常に優れたビーム(水平棒)ウォーキングスキル(細い棒の上を歩く能力)を持っています。「NC」マウスよりも、滑ったりや尾でつかんだりすることが少なく、細い梁をすばやく通過できます。ブレンナー教授によると、母マウスにとって産後のある期間は大きく急速に代謝が変化してストレスが高まる時期であって、これが正にこれからの研究課題です。研究者らは実験マウスを使用して、産後の母マウスのNADレベルに何が起こるかを調べ、そしてNRサプリメントを母親のマウスに与える効果を調べました。

 その結果、母マウスには産後、肝臓から乳腺へのNAD代謝産物の劇的な転換があることがわかりました。肝臓中のNADレベルはほぼ半分になり、乳腺組織中のNAD代謝産物のレベルは20倍以上増加します。この変化は母乳生成の促進に重要な役割を果たしています。

マウスにNRを投与すると、肝臓のNADレベルが正常値またはそれ以上に戻って過給乳となり、その結果、NR投与の母マウスはより多くの母乳分泌し、そして母乳は脳の発達を促進する脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれる成長因子を多く含んでいました。NRを与えられた母マウスはまた、サプリメントを与えられていない母マウスよりも早く体重が減りました。

NRを補給することによって、母乳資源が、肝臓から乳房、そして母乳へと全ての段階でその資源が増加しつつ流れると考えられる驚くべきカスケード反応を開始します。さらに、母乳中のBDNF、およびおそらく他の多くの生物活性因子も増加します」とアイオワ神経科学研究所(Iowa Neuroscience Institute)のメンバーでもあるブレンナー教授は言います。

健康的な成長が見られる

マウスたち(出典:Karsten PaulickによるPixabayからの画像)


NRを投与された母マウスの母乳で育った子マウスにも顕著な違いが見られました。子マウスはより活発で冒険的で、そしてNR投与なしの母マウスから生まれた子マウスより早く大きく成長しました。重要なことですが成長は健全でした。以前の研究では単に、げっ歯類の子供は母乳の量を増やすと成長が増進するが、その動物は代謝的に健康ではないという結果でした。これとは対照的にUI調査ではNRを摂取した母が養育している子には、長期にわたる身体的および神経学的利点があることがわかりました。

研究者らはまた、NR投与母マウスが育てた子マウスに見られる行動上の利点には、測定可能な程度で脳の変化が伴うことを見出しました。若いマウスでは、NRを与えられた母マウスの子孫は脳内のBDNFレベルが高く、脳の発達が進行していました。成体の子孫には、NRを摂取しなかった母マウスの子孫と比較して、高いレベルの神経新生(新しい脳細胞の産生)が認められました。

補足ビデオ

違いを明らかにしたビデオ
ビデオは、対照(NC)と比較して、NR補給母マウス(ビデオ上でNRと表示されている)によって授乳されたマウスの改善されたバランスおよび協調を示す。 「NRマウス」は非常に優れた水平棒ウォーキングスキルを持っています。 「NC」(コントロール)マウスよりも、足の滑りやテールグリップが少なく、細い水平棒をすばやく通過できます。


今後の研究目的

NRが女性の母乳分泌を改善するかどうか、そして母体の体重減少を増やし、小児期の発達を改善する可能性があるかなど、これらの刺激的な2次的な効果があるかどうかをテストできることに真に興奮を感じています」とブレンナー教授は言いました。

引用ニュース & 原著論文

🔵 アイオワ大学プレスリリース(英語):Study shows supplement provides physical, behavioral benefits to mouse moms and offspring University of Iowa

🔵 原著論文(オープンアクセス;全文を無料で閲覧できます):Maternal Nicotinamide Riboside Enhances Postpartum Weight Loss, Juvenile Offspring Development, and Neurogenesis of Adult Offspring( Cell Reports , 2019)

Seigoの追記

ニコチンアミドリボシド(NR)はアンチエイジング分野では重要な補酵素ですが、NR入りの母乳で育ったマウスは成長してNRを摂らなくても元気で長生きというのがすごいですね。

たくさんのNRのメリットが登場しましたので、そのメリットを母マウスと子マウス別に表にしてまとめました。

NRを与えた母マウスと子マウスに見られるメリット集

母マウスのメリット NRを投与された母マウスの母乳で育った子マウスのメリット(エサにはNRは入っていない)
産後は早く体重が減少 際立って長生き
母乳の量が多い 活発で冒険的
母乳の品質は高め 早く大きく成長する
乳腺でNAD代謝産物が20倍増える 代謝がより良い
肝臓でNADレベルが半分(母乳を作る材料が肝臓から乳房へ効率よく移動した結果) より良い運動協調能力
脳の発達を促すタンパク質因子(BDNF)が母乳に多い より良い学習力
より良い記憶力を維持
ストレスに強い
より良い回復力
成人期を通じて身体的健康が向上
より良い脳の発達
より良い行動力
脳内のBDNFレベルが高く、脳の発達が進んでいる
高いレベルの神経新生(海馬での新しい脳細胞の産生)が認められる

人間の場合はどのくらいの期間必要か?

この研究ではげっ歯類のマウスを使っていて、妊娠してから約21日間で子供が生まれ、授乳期間が終わるのはさらに21日間かかりますが、NRを母マウスに与えていたのは授乳期の21日間だけのようです。NRの量は 3g/kgでした(原著論文より)

この3週間だけで、子マウスは一生に渡って健康的メリットを受け、さらに寿命も延びてしまうのだから驚きです。

さてそれでは、人間の場合はどのくらいの期間になるのでしょうか?

人間の授乳期間は日本では平均1年、世界的には2〜4年だそうです。

日本では約1年だけ、母親がNRを摂取して授乳すればいいことになります。

この1年間だけで子供にとっては一生メリットが続くわけですから、この投資はすごく安いということになるのではないでしょうか?

BDNFドリンクを飲みたいな 😄

BDNFの構造(出典:Wikimedia Commons, By Microswitch, CC BY-SA 3.0, Link


この研究報告では母乳に高濃度のBDNFが含まれていて、これが脳の発達に非常に重要だったようです。

そしてその後、子マウスの頭の中には授乳期を離れてからでも脳内に高いBDNF量が保たれて、脳の発達を促したそうです。

これは普通のドリンクにBDNFを加えて飲んでも、同じ効果が得られるかも知れませんね。

機会があったらBDNFドリンクを飲んでみたいな〜!

副作用が出たという論文もあるので注意

上のリポートの中でも述べられていますが、ラットにNRを300 mg (kg/body weight)を21日間与えたところと酸化還元の代謝を乱し、運動能力を損なったという副作用の報告が2018年に出ていたそうです。

Nicotinamide riboside supplementation dysregulates redox and energy metabolism in rats: Implications for exercise performance (Exp Physiol. 2018 Oct; 103(10): 1357-1366.)

なのでまだまだ人ではどうなるか分からないので注意が必要です。

Amazonで手に入るサプリ

フォームはちょっと違いますが、NRの類似品のサプリです。米国では多くの種類が売っていますが、日本のAmazonでも最近売り出されたようです。(NRそのものが売っているのはあまり見たことがありません。)

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