信頼できる情報とは? – 学会発表? 論文? 教授のコメント?

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このサイトでは科学論文の引用を多くしています。

そこで今回はなぜ科学論文ばかり掲載しているのか、その他のネットやテレビの情報をどの様に解釈したら良いかの基準に対する私の見解について書こうと思います。

論文とは?

まずサイト用の記事を選び出す上で日本人にとって重要で、そしてなるべく正しい情報を選ぶのですが、一番信頼できそうな情報は査読を受けた論文です。

なぜなら査読を通過するには少なくとも3人のその道の専門家のジャッジを受けて、全ての専門家の合意を得ないと発表できないようなルールになっているからです。

しかし、それでもデータは後で間違いでしたということはあります。トップジャーナルの「Nature」誌でさえ、データの間違いが発覚して取り下げられる論文もあります。(信用できそうな情報かどうかを判断するのも科学者の力量ですが)

データの改ざんも少なくありません。やはり研究費が出なくなることを怖がって、毎年ポジティブなデータを出すために多少は図や写真を改変してしまったりする研究者も結構いるようです。ラボミーティングなどに出席すると、これは少し改変してあるのでは?っと思うようなデータを目にすることもあります。しかしそれが正しいかどうかは本人にしか分からない点が問題です。大きな研究機関になると第三者が介入して、データの信頼性を審査するところもありますが、ほとんどの場合は研究当事者か〔まれにそのボス(指導者)〕しかわからないことが多く、これが研究審査の難しくさせています。

正しいデータでも再現性がなければ疑われる

もう一つ研究分野の問題点は、注意深く正しいデータを出して論文発表をしても、他のラボで再現できなければ、やはり改ざんデータなのではないかと疑われてしまう点です。発表者は他のラボの研究者が再現しやすいように、実験方法を分かりやすく表現できれば問題ないのですが、あるの論文(出版社)では実験方法の書くスペースが余りなく簡素化して短く書く必要があり、そうなりますと説明不足のため再現できない場面が生じやすいのです。

特にトップジャーナルである「Nature」や「Science」に出た論文の再現性が低いのは有名で、一説では60%の研究は再現できないと言われるほどです。私もトップジャーナルの研究を再現しようと試みたことはありますが、失敗する方が多いです。その実験者とコンタクトが取れればまだ解決策が見つかるかも知れませんが、トップジャーナルに出たようなファーストオーサー(第一著者)は急がしいせいか連絡も取れず、実験が再現できる確率は低いです。むしろ中堅のジャーナルのほうが再現性が高い場合が多いかもしれません。

ノーベル賞受賞者(イメージの出典:Photo by Icons8 Team on Unsplash)


それでもノーベル賞級の研究(山中先生のiPS細胞の研究など)は他の研究室でもすぐに再現性が確認され、どんどん応用される研究になっていくものも、もちろんあります。

再現性が高く保てるように、論文の発表形態を変えていく必要もあるのかも知れません。実験方法のところは、言葉で伝えるのは分かりづらいものなので、全てビデオで細かい実験の手順を示すような形態にすればスムーズだと思います。

信頼される条件とは?

とは言っても論文のデータは、ネットに転がっている情報よりかは、はるかに安定しており信頼できるので、このサイトでは優先的に取り上げさせていただきます。信頼できるデータだったかどうかは、年数が経つと分かります。正しいデータはいつまで経っても別の論文に引用され続けますし、そのラボ(研究室)は信用できる研究室として世界中から注目されるようになり、その研究室を出たメンバーは、一目をおかれることになります。

科学論文も正しくないことも多いですが、出たばかりの論文を正しいかどうか見分けるのはとても大変だと思います。結局は実際に自分でやってみないとわからないわけです。

ですから信じろという押し付ける意味で論文を紹介しているわけではなく、ただ病気との関連でこういう研究がされてますよという、ある1つの証拠くらいに思っていただければ幸いです。

例えばターメリックは関節炎に効いたという論文があって、だからと言って効くから薬として使うべきとはいえないと思います。人によって効く効かないはあるでしょうし、誰にも効かないというものもあるかもしれません。ただそういう論文があって効くと言っている人たちがいたら試してみるのはいいかもしれません。そういう考え方があるからサプリがとても売れているのだと思います。〔お医者さんの薬で効くものがないので(もしくは米国の場合は値段が高すぎるので)サプリに走っているケースも多いと思いますが〕

例えば農薬はガンになるリスクが高まるという裁判結果が出ても、本当に農薬でどのくらいの人が(何%の人が)ガンになるかなど、実際のところはわかりません。ヨーロッパでは国が農薬の使用を規制して、その農薬の排除する方向に素早く動く場合が多いです。また欧米では有機野菜を求める人も多く需要があるのでスーパーに有機野菜が置いてあるケースが多々ありますし、その値段も普通の野菜と比べて1〜2割程度高いくらいです。買えないほど高くなるわけではありません。(需要があるので値段も自然と低く抑えられるのだと思います)

しかし日本はそのニュース自体報道されませんし、国も規制をしないので、国民の意識が低くなってしまい、有機野菜を取り扱う量は野菜全体の全体のたった0.3%しかありません。でももしかすると実は多くの人がガンになっているのに、それは知らずに安全だという認識で使い続けているだけで、いつか未来になって「あの時代の人たちは恐ろしいものを口にしてたんだ」ということになっているかもしれません。それでは遅すぎですが・・・

そうならないためにもリスクがあるかもしれないものについて情報として頭に入れて、日々吟味しながら生活していければいいなと思っています。皆がなるべく有機や無農薬野菜を意識して優先的に買うようになれば、野菜を生産する側はそれに対応するしかないのですから。

そしてニュースやテレビでは報道されないけれど、こんなことが研究されているんだという情報や外国の動きをシェアしていきたいと思います。

ネットからの情報をどう判断する?

個人がニュースを発している場合、その人の専門分野は何なのかを知る必要があります。専門分野外のことを言っている場合は、時に間違いだったり正確でない情報だったりすることもあるので要注意です。ネットで信頼できるソースをさらに検索したりして確認すると良いと思います。

有名人が発する情報は信用できるのか?

やはりその方がもともと何に詳しいかを知る必要があります。分野外でしたら正しくないことを述べている可能性もあるので有名人だからと言って鵜呑みにしないで、信頼できる情報源か確認した上で正しい情報かどうか判断すればいいと思います。

例:ある分野で有能な有名人がジャンクフードを食べても長生きしている場合、それは長寿食になるのか?

すごく有名人で容姿端麗で健康面でも丈夫な方がたまに見受けられます。遺伝子(家系のDNA)も良いのであろうと察しますが、そういう方が相当砂糖ジャリジャリのスイーツを毎日食べても健康で長生きしているのを見て、それは安全な食べ物と言えるのでしょうか?

ある意味これは私は問題だと思っているのですが、ほとんどの場合、有名人でテレビに出るような頑丈な方は遺伝子が良くてちょっとやそっとのジャンクフードを食べても体を壊したりしないようですね。そういう方が長生きだったりすると、そのジャンクフードを一般の方も普段から食べていいのではないかと、間違った情報がテレビから多くの人に報道されてしまうのは、非常に困ったことだと私は思います。

遺伝子が良くて長生きに見える場合があるでしょうが、実はその有名人の遺伝子からすると120歳までは軽く生きられる家系なのに、実はジャンクフードを食べてるせいで20年も早く100歳で死んでいるのかもしれません。それでも平均寿命からしたら長生きなので「ジャンクフードを食べても長生きできる」と判断されてしまうというようなことが見受けられます。これは有名人(遺伝子の強い人)がテレビに出て間違った情報を流布しやすい問題点です。そういう人がもし有害な化学物質に気をつけて良い食生活をしていたら、120歳でも若々しいかもしれません。人の場合は実験動物のように、良い食事と悪い食事をした場合、どのような違いが出るか?のようなことは確かめることが出来ないので、そのようなデータは出てこないのです。

というわけで、いろいろな情報があり、間違った情報もたくさんある中でなるべく正しいと思える情報をキャッチしてセンスを研ぎ澄ましていきましょう。

 

 

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