【朗報】微生物が有害フッ素化合物PFASを食べて除去できることが判明!?

ニュース/レビュー

執筆日:2019年11月26日、更新日:2021年3月10日

ファーストフードで使われる容器やダイバーが使う潜水具には防水性(または撥水性;はすいせい=水をはじく性質)を高めるために有機フッ素化合物(PFAS)が使われている場合が多いですが、この毒性が米国で問題になっていることが報告されています。

これは2年前から一般に知られはじめましたが、日本ではこのような情報は完全にブロックされているので、今回は以前の記事の復刻版を掲載します。

ーーー 2019年11月26日の記事:ここから ーーー

ついにPFASを分解する細菌が発見されました!

ニュージャージー州のプリンストン大学が発表した論文で、プレスリリース(英文)が大学サイトに掲載されましたので翻訳してご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

また発表された論文はオープンアクセスですので、どなたも無料で全文が閲覧できます。リンクを以下のレビュー記事の後に貼っておきます。
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなってスムーズな日本語に翻訳してくれるようになってきました。(時々変ですが)ご活用下さい。(Google翻訳のページはこちら

PFASおよびその他の強力な汚染物質を食する微生物

英文執筆者:John Sullivan (Office of Engineering Communications)

 

プリンストン大学の研究者によると、PFASと呼ばれる除去が困難なクラスの汚染物質を、比較的一般的な土壌細菌が分解する能力を持っていることが一連のラボ試験で示されました。

Environmental Science and Technology 誌に発表された結果では、ある一種の細菌 Acidimicrobium bacterium A6 (以後「アシドマイクロビウム菌A6」と呼ぶ) が、100日間の観察期間において、試験バイアルからPFASの60%を除去できました〔特にペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)〕。

アシドマイクロビウム属の電子顕微鏡写真(出典:Wikimedia Commons, by Manfred Rohde, HCIRLink )


健康上の懸念と遍在性のため、環境保護庁(EPA)は最近、飲料水に含まれる化学物質の影響に関する研究活動を開始しました。プリンストンの主任研究者である土木・環境工学のPeter Jaffe教授は、これらの細菌が、難分解性として名高い化学物質を、実質的に分解することがわかり、非常に勇気付けられたものの、実際に浄化に役立てるためには、さらに工夫が必要だと話しています。

「コンセプトとしての証明はできました。除去率を上げ、現場での試験を行う予定です」

PFAS (ペル、及びポリフルオロアルキル酸)は、フッ素加工のフライパンから消火泡まで、幅広い製品に使われており、EPAはPFASへの暴露が人間の健康に有害であることは明らかだとしています。このため、米国の製造業者は、自社製品のPFASのいくつかのバージョンを段階的に廃止しています。しかし、この物質は長寿命であり、土壌や地下水から除去することは非常に困難です。近年、地方自治体は、水道水のPFASの量を減らす方法を模索しています。

PFASの一種であるPFOSの構造(出典:Wikimedia Commons, By Jynto (talk) – Own workThis image was created with Discovery Studio Visualizer., CC0Link ))


炭素-フッ素結合の結合力の強さのため、これらの化学物質は従来の手段で除去するのが非常に困難です。

しかし、Jaffe教授と、共同研究者のShan Huang研究助手は、アシドマイクロビウム菌A6が効果的な除去剤となるのではないかと考えていました。

研究者たちは、数年前、ニュージャージー州の湿地などの場所で、鉄が豊富な酸性土壌でアンモニウムが分解する現象を調査したときに、細菌の研究に着手しました。アンモニウムの除去は下水処理の重要な部分であるため、Feammoxと呼ばれるプロセスの背後にあるものを解明しようとしました。2013年の最初の研究で、Jaffe教授らはトレントン郊外のAssunpink湿地から土壌サンプルを採取しました。彼らは研究室でサンプルを培養し、Feammoxプロセスを担う微生物を特定しました。アシドマイクロビウム菌A6の存在下でFeammoxプロセスが進行することがわかりましたが、この生物を分離し、純粋な培養物として成長させるには数年の骨の折れる作業が必要でした。

アシドマイクロビウム菌A6を使用する際の課題の1つは、生育とアンモニウムなどの化合物除去の両方に対する鉄の要求性です。Jaffe教授は、大学院生のWeitao Shuaiと、現在はRutgersのポスドク研究員であるMelany Ruizとともに、反応槽の中では、電気陽極が鉄の代替となることを見出しました。この反応槽を用いることで、これらのバクテリアを簡単に増殖させ研究を行うことができ、さらに改良していくことで、鉄のない状態でも浄化を行うことが期待されます。

アシドマイクロビウム菌A6ゲノムを配列決定したところ、PFAS除去に効果的である可能性を示す特徴が見出されたのです。

「これら過フッ素化有機物を分解する可能性のある生物を見つけることは、環境問題解決の大きな課題であることはわかっていました」

とJaffe教授は話しています。

PFASを除去する実験

仮説の検証のため、反応槽にアシドマイクロビウム菌A6のサンプルを密封し、化合物を分解する細菌の能力を調べました。

100日後に分析を行い、細菌が汚染物質の60%を除去し、その過程で同量のフッ化物を放出したと判断しました。Jaffe教授は、100日間は実験の都合上の任意の期間であり、より長い期間ではより多くのPFAS除去につながる可能性があると述べています。PFAS除去に最適な条件を見つけるため、反応槽の条件を変えることも計画されています。

アシドマイクロビウム菌A6低酸素条件下で増殖することから、土壌および地下水の浄化に特に効果的であり、高価な曝気処理を必要とすることなく機能させることができます。ただし、これらの細菌は鉄と酸性土壌を必要とします。Jaffe教授は、このため展開が制限される可能性がある一方、土壌条件を調整することで、これらの要件を自然に満たしていない地域でも細菌を機能させることができると話しています。 

アシドマイクロビウム菌A6による土壌カラム、人工湿地、および電気化学反応槽での実験では、まだアンモニウム分解能しか示されていませんが、PFAS除去に対しても試してみるべき手法と考えられています。

Jaffe教授は、Mohammad R. Seyedsayamdost 准教授など化学部門の研究者らと協力して、脱フッ素化プロセスに関与する酵素をより詳しく理解していると述べています。これらの酵素の特性を明らかにすることで、浄化の効率を高める洞察が得られると期待されます。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Microbe chews through PFAS and other tough contaminants. Sept. 20, 2019

🔵 原著論文(オープンアクセス:全文が無料でご覧になれます): Defluorination of Perfluorooctanoic Acid (PFOA) and Perfluorooctane Sulfonate (PFOS) by Acidimicrobium sp. Strain A6
Environmental Science and Technology, 2019 )

→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなってスムーズな日本語に翻訳してくれるようになってきました。(時々変ですが)ご活用下さい。(Google翻訳のページはこちら

seigoの追記

PFASは体内に蓄積する有毒な有機フッ素化物ですが、分解してくれる細菌が見つかりました!

これは朗報ですね 😆

土の中のPFASは1000年以上残留すると言われていましたが、見つかった細菌や酵素反応で、人間が作ってしまった有毒物質を無毒化してくれるかもしれません。

人間の生み出してしまった汚染など、結局自然の力を利用するしかないところに人間の小ささを感じますね。

逆に言えば、大自然は偉い。私たちはもっと自然に感謝して、地球を大切にしなくてはいけませんね。そして人間による汚染は最小限に減らしていかねば!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。