テロメアが短縮すると染色体同士がくっつき細胞寿命が短くなることが判明! (2019年最新論文)
ニュース/レビュー
今回はサンゴに優しい日焼け止めについてのEcoWatchの記事を翻訳しましたのでご紹介します。
カーネギーメロン大学がテロメアを人工的に短くする方法を開発しました2つの抗生物質によってがん幹細胞の増殖を90%抑えられる可能性があるという研究報告です。
イギリスのサルフォード大学がその研究結果を論文に発表し、またそのレビュー記事(英文)を大学サイトにリリースしました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
この記事のもくじ
ニュースタイトル「ダイレクトな酸化ストレスによる損傷はテロメアを短縮させる」
Study finds direct oxidative stress damage shortens telomereshttps://medicalxpress.com/news/2019-05-oxidative-stress-shortens-telomeres.html
ピッツバーグ – 細胞に酸化ストレスを与えると考えられている原因(公害やディーゼル排気、喫煙、肥満など)はテロメアの短縮の原因にもなっていると考えられています。テロメアとは、染色体の端に位置している保護部分です。
Molecular Cell 誌に掲載されたピッツバーグ大学の新しい研究は、酸化ストレスがテロメアに直接作用して細胞の老化を促進するという、決定的な証拠を初めて示したものです。
テロメアを構成しているグアニン塩基が酸加を受けることが短縮の原因なのか?
この研究の責任者であるピット大学院公衆衛生大学院およびUPMCヒルマン癌センター環境・産業保健教授のPatricia Opresko博士は、次のように述べています。「テロメアは何百ものグアニン塩基で構成されており、それらが酸化の原因となっています。それは単なる偶然なのでしょうか? また、テロメアでそれらのグアニンが酸化されることが、本当にテロメアの短縮の原因となっているのでしょうか?」
検証のためには、Opresko博士はテロメアに酸化ストレスを与える方法が必要だと考えました。
そこで彼女は、カーネギーメロン大学の分子バイオセンサー・イメージングセンター長の、Marcel Bruchez生物化学教授に協力を仰ぎました。Bruchez博士は、テロメアに局在させ、操作によって局所的なフリーラジカル(酸化ストレスの分子剤)を誘導する特別な光活性化分子を使用し、テロメアに照準を合わせる技術を開発しています。
光で誘起させた、テロメアの酸化的損傷の過程を24時間に渡り録画し、DNAが融合した結果、娘細胞がくっついたまま最終的には死んでしまう様子を明らかにしました(Fouquerel et al. (2019). Mol Cell).
「生細胞の特定の遺伝子座に酸化的損傷を与える方法の主な課題の1つは、正確な時間、および用量制御を達成することでした。テロメアターゲティングと、光操作性の一重項酸素生成を組み合わせることで、テロメア部位に特異的に、時間と強さを調節しながら酸化ストレスを与えることができるようになったのです」
研究者らは、培養ガン細胞を環境酸化ストレスおよび炎症の条件を模倣した上で、この標的酸化手順に繰り返しさらしたところ、テロメラーゼによるテロメア長の修復が起きているにもかかわらず、細胞分裂ごとにテロメアが破壊され短縮されることを見出しました。
テロメアが壊されると、DNA修復機構は染色体の端同士をくっつけてしまい、その結果ゲノムは不安定となり、細胞分裂が正常に行われなくなります。
テロメアの短縮は、健康な細胞には痛手ですが、ガンに対抗する方法として考えると、テロメアを標的にする方法は有効かもしれません。テロメアを十分短縮させれば、ガン細胞は分裂できなくなります。
「テロメア短縮の原因と、細胞がそれをどのように補うかを理解することは、健康な細胞のテロメアを保護し、またガン細胞のテロメアを標的とした介入戦略を設計するために有効なものとなります」
と、Opresko博士は述べています。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース&原著論文
🔵 英語ニュース:Direct Oxidative Stress Damage Shortens Telomeres(University of Pittsburgh)5/14/2019🔵 原著論文: Targeted and Persistent 8-Oxoguanine Base Damage at Telomeres Promotes Telomere Loss and Crisis.
Molecular Cell, Volume 75, ISSUE 1, P117-130.e6, July 11, 2019
Elise Fouquerel, Ryan P. Barnes, Shikhar Uttam, Simon C. Watkins
Seigoの追記
上記のレビューでは「テロメアは何百ものグアニン塩基(G)で構成されている」ということでまるでGしかないように書かれていましたが、実際は「TTAGGG」の繰り返しです。グアニン(G)は6塩基中3個なので正確には50%です。
この研究では、テロメアが短くなるとどうやって細胞が死ぬかを明らかにしました。
短くなったら染色体同士がくっついてしまって、細胞分裂する時に娘細胞(分裂して新しくできる予定だった2つの細胞)に染色体が分配できなくなってしまい死んでしまうそうなのです。
がん細胞はテロメアが短くならないような仕組みがあって(テロメアを延ばすテロメアーゼが活性化しているため)老化しません。寿命がないのでがん細胞は無限に増殖できますが、研究者は今回の開発した酸化ストレスを与えてテロメアを短縮させる方法を応用してガン治療に役立てようとしています。うまくいくといいですね。
テロメアの関連書籍
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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