グラスフェッドバターに変えるべき7つの理由〔レビュー: 科学的根拠・論文引用あり〕
バターは不健康? コレステロールがたまるから健康に悪い?
そんなことは科学的にはデマだとい分かってきて、昔イメージが良かったサラダ油などの植物油はむしろ不健康で、動物からどれた脂のほうが健康ではないかと言われ始めております。
マーガリンなどのトランス脂肪酸を含む食品は、欧米では健康を害するという理由で使用禁止になっており、そんな毒物を食べるのを許可しているのは日本とアジア圏くらいになりました。
そして今、牛の乳から作るバターが見直されてきているのです。
しかも自然の牧草を食べて育った牛からとれるバター(グラスフェッドバターと呼ぶ)が科学的にも健康に良いという事実が次々と発見されてきているのです。(普通のバターは、もともとの牛が人工ホルモンを注射され、牧草でない動物性のエサや遺伝子組換えされた穀物を食べさせられているので、健康的ではありません)
今回は、マーガリンや普通のバターからグラスフェッドバターに変えるべき理由について、米国Healthlineが素晴らしいレビュー記事(英語)を書いているのを見つけました。今回はそれを翻訳したものをご紹介いたします。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。)
以下の訳文のカッコ内の数字は研究論文などの参考文献のリンクです。参考文献は審査を通過した論文がほとんどで情報の信頼度を上げます。(審査を通った論文とは、少なくとも3人の専門家に査読を受け、全ての人の同意を得た論文となります。1人でも専門家が反対すれば論文は出版できません。) ただしほとんどの参考文献は英語で書かれています。
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなって結構わかりやすい日本語にしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら)
この記事のもくじ
グラスフェッドバターに変えるべき7つの理由
英文執筆者:Makayla Meixner
グラスフェッドバターに変えるべき理由7つバターはふつう牛乳から作られる皆がよく知っている乳製品です。
それは本来、牛乳由来の固形の脂肪です。それはバターミルクから乳脂肪が分離するまでミルクをかき混ぜることによってできます。
興味深いことに、乳牛が食べるものは、牛乳の栄養価に影響を与える可能性があります。それはまたバターの栄養価も同様です。 (引用文献 1, 2 ← オープンアクセス;2の論文は全文が無料で閲覧できます)。
米国のほとんどの牛は主にトウモロコシや穀物ベースの飼料を食べますが、グラスフェッド(牧草牛)を食べて育った牛のお肉や乳製品はますます人気が高まっています (3)。
以下はグラスフェッドバターの健康の向上に期待されている7つの利点をご紹介していきます。
① 一般のバターより栄養価が高い
一般のバターもグラスフェッドバターも脂肪とカロリーが高いです。重要な脂溶性ビタミンであるビタミンAも豊富です (4, 5)。しかし研究はグラスフェッドバターは栄養価がより高いかもしれないことを示しています。特にヘルシーな不飽和脂肪酸がより多いです (6, 7)。
例えばグラスフェッドバターはオメガ3脂肪酸がより豊富です。それは抗炎症作用があると考えられており、多くの健康に良い効果と関連しています。
ある分析ではグラスフェッドバターのオメガ3脂肪酸は一般のバターより平均約26%も多いことがわかりました (7)。
別の分析では、グラスフェッドの乳製品は一般の乳製品よりも共役リノール酸(CLA)が最大500%も多いことが判明しました。研究ではこの脂肪酸は色々な体に良い効果と関連づけました (8)。
例えばさらに研究が必要ではありますが、CLAは動物試験やラボの研究で抗がん効果が期待できることを示しました (9, 10, 11)。
グラスフェッドバターは、よりヘルシーな脂肪プロファイルを誇るだけでなく、骨と心臓に重要な役割を果たすビタミンK2がはるかに豊富だと見られています (12)。
要点
一般のバターと比べて、グラスフェッドバターはビタミンK2やオメガ3そしてCLAなどのヘルシーな脂肪がより豊富なことがわかっています。
② ビタミンAの補給源
ビタミンAは脂溶性で必須ビタミンとされています。つまり体内では作ることができないので、食事に取り入れなくてはいけません。一般のバターと同様、グラスフェッドバターはビタミンAが豊富です。大さじ1杯(14グラム)のグラスフェッドバターにはこのビタミンの1日当たりの推奨量(RDI)の約10%が含まれます (5)。
ビタミンAは視力や生殖機能、そして免疫機能に必要です。また成長と発達に重要な役割を果たし、健康な歯や骨、そして皮膚の形成と維持に関与しています (13, 14)。
要点
グラスフェッドバターは、免疫機能や視力などに不可欠な栄養素であるビタミンAの優れた供給源です。
③ 豊富なβカロチン
バターはβカロチン(体が一日に必要な分のビタミンAの材料になる有益な成分)が豊富です。研究では、グラスフェッドバターは一般のバターよりβカロチンがより多いことが示されています(15, 16)。
ある実験では、100%の牧草で飼育された牛の牛乳から作られたバターはβカロチンが最も多く、牧草とトウモロコシで育った乳牛のバターは最も少なかったです (15)。
βカロチンはよく知られている強力な抗酸化物質です。抗酸化物質はフリーラジカルと呼ばれる不安定な分子によって起こるダメージから細胞を守るのを助けます (17, 18)。
多くの観察研究は、βカロチンが多い食品の大量摂取と、加齢黄斑変性症(AMD)や2型糖尿病そして特定のがんなどのいくつかの慢性病のリスク低下に関連しています (19, 20)。
しかし、これらの研究は大部分がβカロチンが豊富な果物と野菜の摂取にフォーカスしており、グラスフェッドバターの摂取についてではありません。
要点
グラスフェッドバターは一般のバターよりβカロチンが多いです。βカロチンはいくつかの慢性疾患のリスクの低下に関連している強力な抗酸化物質です。
④ ビタミンK2を含む
ビタミンKは脂溶性ビタミンで、主にビタミンK1とK2の2つの主要な形で存在します。フィロキノンとしても知られるビタミンK1は、ほとんどの食べ物でビタミンKの主な供給源です。主に緑の葉物などの植物性の食べ物に含まれています (21)。
ビタミンK2はあまり知られていませんが重要な栄養素です。メナキノンとして知られていて、それは主にグラスフェッドバターなど、発酵食品や動物性食品に存在します (21, 22)。
ビタミンK2は食べ物には稀ですが、全体的な健康にとっても重要です。カルシウムレベルを調節して、骨と心臓に重要な役割を果たします (オープンアクセス → 23, 24)。
ビタミンK2はカルシウムをより吸収するように骨に信号を送って、骨の健康をサポートします。いくつかの研究で、より多くのビタミンK2を摂る人々は骨折の経験がより少ない傾向があるとわかりました (25, 26, 27)。
ビタミンK2は血流から余分なカルシウムを除いて、血管内で有害なカルシウム沈着やプラークが血管に蓄積するのを防ぐことができます (28)。
4,807人が対象の大規模研究で、ビタミンK2の多い摂取(1日当たり32 µg)は心臓病による死亡リスクが50%減少することと関連していました (29, 30)。
要点
グラスフェッドバターのような高脂肪の乳製品は骨や心臓の健康を促進するビタミンKの一種のビタミンK2が含まれています。
⑤ 豊富な不飽和脂肪酸
不飽和脂肪には一価不飽和と多価不飽和脂肪があります。このタイプの脂肪は、研究が一貫して心臓への良い効果と関連していたので、長い間ヘルシーだとされてきました。食事の飽和脂肪の一部を不飽和脂肪に換えることで、心臓病のリスクを減らすことができるかもしれないという強い科学的証拠があります (31 ← オープンアクセス)。
これを行う簡単な方法の1つは、一般のバターをグラスフェッドバターに換えることです。
ある研究では、グラスフェッド乳牛と従来の飼料乳牛の製品を比較しました。するとグラスフェッドバターは一般のバターより不飽和脂肪が多いことがわかりました (32, 33, 34)。
ですがグラスフェッドバターはまだかなりの量の飽和脂肪を含んでいます。
ヘルスエキスパートがかつて考えていたように、最近の研究は飽和脂肪の摂取は心臓病と関連がないかもしれないと示唆されています。ただし、ナッツや種子そして脂肪の多い魚などの栄養源からの飽和脂肪だけでなく、いろいろな種類の脂肪を摂取するのがベストです (35, 36)。
要点
一般のバターと比べてグラスフェッドバターは不飽和脂肪酸が多く、心臓への良い効果と関連しています。
⑥ 共役リノール酸を含む
共役リノール酸(CLA)は主に牛や羊、そして山羊などの反すう動物の肉や乳製品に主に含まれる脂肪の一種です。
グラスフェッドの乳製品特にグラスフェッドバターは、CLAが特に高いとされています。
ある実験では、牧草牛はトウモロコシベースの飼料で育てた牛よりも500%多いCLAを含む牛乳を出しました (8)。
研究ではCLAはいくつかの有望な健康効果があると期待されています。
動物実験とラボの研究では、CLAが2型糖尿病や心臓病、そして特定のがんなどの慢性病の予防に役立つ可能性が示唆されています (37, 38)。
例えば試験管実験で、CLAはガンの細胞死を引き起こし、乳がん細胞と大腸がん細胞の増殖を遅らせました (37, 38, 39)。
しかし、人での研究結果ははっきりしていません。
CLAの多い食事をしている人は乳がんのリスクが低いかもしれないという研究もありますが、2つの間には関連がないという研究もあります (オープンアクセス → 40, 41)。
マウスとウサギでの研究は、CLAサプリメントが動脈のプラーク蓄積を遅らせたり減らすことによって心臓病のリスクを下げる可能性があることを示唆しています (37)。
とはいえプラークの蓄積へのCLAの効果を分析しているわずかの人での研究では、まったく効果がないことが示されています (37)。
プラス、多くの研究でグラスフェッドバターを普通に食べる量に入っている少量ではなく、濃縮型の(高い濃度の)CLAを使っています。このためこの量が健康にどのような影響を与えるかは不明です。
全体的に、CLAの健康効果に関する人の研究がもっと必要です。
要点
グラスフェッドバターには一般のバターよりも1食あたり最大500%のCLAが含まれています。しかし、バターの少量のCLAが健康にどのように影響するかは不明です。人での研究がもっと必要です。
⑦ 食事に加えることが簡単
結局グラスフェッドバターは通常のバターと比べて栄養価の高い代替品になるかもしれません。幸いなことに味も食感もほぼ同じですし、どんな料理にもグラスフェッドバターに簡単に置き換えられます。
例えばグラスフェッドバターは焼いたり、トーストに塗ったり、焦げ付かないため調理に使えます。
でもグラスフェッドバターは脂肪とカロリーの塊であるということは覚えておいてください。比較的ヘルシーではありますが、思わず太ったりしないように適度に食べて楽しむのがベストです。
そして、食事に他の健康的な脂肪をたくさん含めるようにして下さい。ナッツや種子、そして脂肪の多い魚などを食べ、ヘルシーな脂肪を幅広く摂るようにしましょう。
要点
グラスフェッドバターは適度に摂取すれば、ヘルシーで簡単に一般のバターから変えられるでしょう。
まとめ
グラスフェッドバターはビタミンAと抗酸化物質のβカロチンの優れた供給源です。また一般のバターよりヘルシーで、不飽和脂肪とCLAの割合が高くなっています。さらに、グラスフェッドバターは骨と心臓の健康に重要なビタミンKの一種のビタミンK2を提供してくれます。
全体的に、適度ならグラスフェッドバターは一般のバターよりヘルシーな代替となります。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:7 Reasons to Switch to Grass-Fed Butter(Healthline)May 28, 2019Seigoの追記
米国のかなり健康志向のお店に行くと生の(RAWの)グラスフェッドバターが売っております(上の写真)。473mLで15.29ドルですから1680円くらいの値段です。(ちょっと健康志向のWhole Foods Market やトレジョでは売っていません。売っているお店は、Erewhon MarketやSprouts Farmers Marketです。たぶんRAWグレードですと、品質が不安定になるなどの理由で法律に引っかかるので、普通のお店には売っていないのです。)
RAWのグラスフェッドバターちょっと高いですが量が500mL近くありますのでかなり持ちます。半分くらいの大きさがあれば丁度良いのですが、それはその当時は売ってなかったです。
お味は期待を裏切らず、とても濃厚で美味しいバターでした。
ネットから手に入るグラスフェッドバター
探すのがたいへんでしたが、無塩や無添加のグラスフェッドバターを見つけましたので2つのリンク(楽天とAmazon, それぞれ1件ずつ)を以下に貼っておきます。> 3個セットバイオ・グラスフェッドバター無塩250g【正規代理店・メーカー直送】 「グランフェルマージュ」より【Amazon】
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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