コーヒーには発ガン性があるといわれるアクリルアミドはどれくらい入っているか? 裁判所からスタバへの警告義務とは?
公開日:2018年4月2日、最終更新日:2019年7月24日
この記事は2018年4月2日に書かれたものを一部修正したものです。
米ロサンゼルスの裁判所は2018年30日までに、米コーヒーチェーン大手スターバックスなど販売業者に対し「コーヒーに発がん性成分が含まれているとの警告を表示すべき」との判決を下しました。
コーヒーの発がん性警告を LA裁判所、スタバなど販売者に命令 (2018.3.31)
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米ロサンゼルスの裁判所は30日までに、米コーヒーチェーン大手スターバックスなど販売業者に対し、コーヒーに発がん性成分が含まれているとの警告を表示すべきとの判断を下した。AP通信などが伝えた。健康被害があるとする原告側の非営利団体の主張を認めた。販売業者は上訴できるが、判決が確定すれば、カリフォルニア州でコーヒーを販売する場合、発がん性表示が義務付けられる。コーヒーに含まれるカフェインには健康効果があるとの研究報告もあり、判決は論争を呼びそうだ。
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判決では「原告側はコーヒーの消費で胎児から大人まで危険性が増すとの証拠を示した。一方で被告側の医療専門家の証言は、因果関係に基づかない意見だった」と指摘した。
団体側は、発がん性が指摘される化学物質「アクリルアミド」が、コーヒー豆の焙煎で生じるとして、この化学物質を取り除くか、警告表示をするかのいずれかを求めていた。
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引用:共同通信
私はポテトチップなどにアクリルアミドが入っているのは知っていましたが、コーヒーにも入っていたのですね。
農林水産省は食品中のアクリルアミドの量を調べたリストを持っています。
以下はその抜粋です。
この記事のもくじ
食品に含まれるアクリルアミドの量
品目 |
アクリルアミドの量 平均値(mg/kg) |
インスタントコーヒー(固形) |
0.67 |
レギュラーコーヒー |
0.22 |
フライドポテト |
0.41 |
ポテトスナック |
1.2 |
ようかん(含みつ糖使用) |
0.42 |
ようかん(含みつ糖不使用) |
0.008 |
食品中のアクリルアミドの含有実態調査(農林水産省)
確かに農林水産省の出したデータを見ますと、インスタントコーヒーやレギュラーコーヒーにはアクリルアミドが含まれています(0.22〜0.67 mg/kg)。
この事実は最初にポテトで発見され、炭水化物を油と一緒に加熱するとアクリルアミドが発生するとの事でした
その後コーヒーのような豆や糖質(表の下にある「ようかん」にみつ糖が入っている場合)にも加熱によってアクリルアミドが発生する事が明らかにされました。
私が大学院生の時にタンパク質を分離するのにアクリルアミドを使っていましたが、その時はマスクと目のカバーが義務づけられ、アクリルアミドの粉を吸わないよう注意されました。そして体に蓄積するから気をつけるようにと言われました。
なぜ危険かというと「神経毒」だからです。
現在 議論されているようなれているような「発がん性」で注意されたわけではありません。
確かに遺伝毒性、変異原性などということになっているようですが、私は「神経毒」と「アクリルアミド」の蓄積しやすさのほうが、「発がん性」よりも気になっています。
アクリルアミドのデータ (「産業衛生学雑誌」より)
アクリルアミドが蓄積しやすい場所
🔴 神経組織
🔴 腎
🔴 睾丸
🔴 肝
🔴 脂肪組織
🔴 ヘモグロビン
※ 蓄積されたあとゆっくり(半減期数日~10日)排出される。
アクリルアミドを食べてがんが実際に発生した場所(ラットの場合)
🔴 中枢神経
🔴 副腎
🔴 睾丸
🔴 甲状腺
🔴 乳房
🔴 子宮
※ 出典(産業衛生学雑誌より):『許容濃度の暫定値(2004年度)の提案理由』平成16年4月13日日本産業衛生学会、許容濃度等に関する委員会(PDF書類)
これを見るとやはり蓄積している場所(神経や腎臓、睾丸)と一致してがんが発生しておりますので、納得のできるデータです。
一方、人ではどうかということでウィキペディアやその他の資料を見ると、発がん性も見られていますがそれほど目立って認められているわけではないようです。
(もし本当に発がん性があれば、この判決より以前にコーヒーを飲む人が次々とがんになって、とっくに規制されていたはずでしょう。)
ウィキペディアに記述されているアクリルアミドによる発がんの報告(なぜかオランダからのみ)
- 2007年、オランダのマーストリヒト大学のジャネケ・ホゲルボルスト (Janneke G. Hogervorst) 氏らが「アクリルアミドの摂取は特に非喫煙者の女性において子宮内膜がんと卵巣がんの危険性を高める」という疫学調査結果を Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention 誌 11 月号に発表した。※マーストリヒト大学プレスリリース
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- 2008年、オランダのマーストリヒト大学の研究チームが「アクリルアミドの摂りすぎは腎臓がんのリスクを高める」という研究を American Journal of Clinical Nutrition 誌5月号に発表した。
(アクリルアミド、ウィキペディア)
IARC(国際がん研究機構)の評価
分類 | 評価内容 | 例 |
---|---|---|
1 | 人に対して発がん性がある | コールタール、アスベスト、喫煙、カドミウム、ディーゼルエンジンの排気ガス等 |
2A | 人に対しておそらく発がん性がある | アクリルアミド、クレオソト(木材の防腐剤)等 |
2B | 人に対して発がん性を示す可能性がある | クロロホルム、わらび等 |
3 | 人に対する発がん性については分類できない | カフェイン、コーヒー、お茶、コレステロール等 |
4 | 人に対しておそらく発がん性がない | カプロラクタム(ナイロンの原料) |
アクリルアミドはIARC(国際がん研究機構)の評価では、発がん性を示す可能性がある(2B)から2016年には、おそらく発がん性がある(2A)に変わりました。
コーヒー自体は発がん性については分類できない(3)で、いろいろな研究で「発がん性は認められない」とか「ガンを予防する作用がある」とか「アクリルアミドをとったほうが長生きになる」などという結果もあるくらいです。
なのでアクリルアミドは微量でコーヒーの中の別の成分が打ち消してしまうくらいかもしれません。
Seigoの追記
私は40代以降になってコーヒーは飲まなくなりました。飲んだ後お腹が痛くなるからです。
その原因はコーヒーに含まれているカフェインのせいだと思っていましたが、もしかしたらアクリルアミドに反応していたかもしれないですね。
年をとったらコーヒーは飲まない方がいいと思っていますが(胃を荒らして消化も悪くなるでしょうから)、コーヒーをたくさん飲んで長生きしている人もいるので一概に否定的な意見は言えません。
それよりもコーヒーでハッピーになり、私のようにお腹が痛くなるなど悪い作用がないなら飲んでいいと思います。
人の体はある程度は毒物を食べても大丈夫なようにできているはずです。むしろ毒物が私たちの強さを生む源になっている場合だってあるかも知れません。
だから自分の体に聞いてみて「Yes」なら飲んでもよいのではないでしょうか。
コーヒーよりも砂糖やクリームのほうが害だと思います。このブログでも申してきましたが、乳製品を飲むなら加熱してない生(なま)の乳製品をとるのが健康増進につながります(日本ではほとんど売っていません)。
市販されている牛乳・生クリームは、このブログではNGということで。
よってそれらをコーヒーに入れれば、体に悪い飲み物となります。
オススメ飲料(コーヒーの代わりになる?)
私はコーヒーみたいなものを飲みたくなったら「タンポポコーヒー」を飲みます。
有機のタンポポコーヒーのリンクを貼っておきます。これは炭水化物や豆を加熱したわけではないのでアクリルアミドはほとんど発生していないと考えられます(それでも葉を加熱しますので全く発生しないわけではありません)。
しかもカフェインフリーなので胃にも安心です。
それでは皆さん、美味しく体の良い飲み物をとって、いつまでも若々しくいきましょう!
Seigo
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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