ついに腸内フローラサプリの有効性が人で実証! 心血管や糖尿病のリスクが低下!? (2019年最新研究)

ニュース/レビュー

今回は心血管リスクを軽減する可能性のある細菌が発見されたのでご報告いたします。

ベルギーにあるルーベンカトリック大学がその調査結果を論文として発表し、またそのレビュー記事(英文)を大学サイトに発表しました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。

翻訳のプロではないので和訳した文章が読みづらかったらどうもすみません 😅

ニュースタイトル「心血管リスクを軽減する可能性のある細菌

要約

🔵 ルーベンカトリック大のPatrice Cani教授と彼のチームは、特に心血管危険因子の減少に対する、細菌Akkermansia(アッカーマンシア)の影響(3ヵ月間の摂取)を観察するために、ヒトでの最初の予備調査を行いました。 結果は Nature Medicine 誌に掲載されています。

🔵 有望な結果:この細菌心血管疾患のいくつかの危険因子の増加を著しく制限し、糖尿病予備群(境界型糖尿病)の進行を緩和し、ヒトのコレステロールレベルを低下させます。

🔵 2人に1人が太りすぎで、いくつかの心血管系の危険因子を持っていることからすると、今日の発見は多く人に影響を及ぼす可能性があります。

🔵 次のステップは? ルーベンカトリック大の研究者たちは、サプリメントとしてこの細菌の大規模試験と商品化を計画しています。


これまでの研究

2007年に、Patrice Cani(FNRS-WELBIO研究員)とルーベンカトリック大学薬物研究所の彼のチームは、ヴァーヘニンゲン大学(オランダ)Willem de Vos教授と協力して、マウスで肥満と2型糖尿病の発症を抑える腸内細菌Akkermansia muciniphilaの有益な効果を発見しました。

2017年に、チームはアッカーマンシア菌低温殺菌して使用すると生きたものより、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、または脂肪組織での脂肪の蓄積など様々な心血管疾患の危険因子からさらに保護することをマウスの研究で発見しました。

人への臨床試験

これらの発見に続いて、ルーベンカトリック大学チームは、  ルーベンカトリック大Saint-Luc病院と共同で、細菌をヒトに投与する臨床試験を行いました。そのためには、細菌を大量に生産する能力を高め、試験が参加者にとって危険がないことを確認することが必要でした。

ルーベンカトリック大学の研究者達は、太り過ぎや肥満のボランティアにアッカーマンシア菌 を投与しました。その条件は、全ての人がインスリン抵抗性(2型糖尿病前)と生活習慣病をもち、また言い換えれば心血管疾患の危険因子を持つ方々です。ボランティアは無作為に3つのグループ(プラセボ生菌および低温殺菌菌)に分けられ、彼らの食習慣や身体活動を変えないように依頼されました。アッカーマンシア菌 栄養補助食品(サプリメント)として提供されました。

この試験の主な目的は、3ヵ月間アッカーマンシア菌毎日摂取することがリスクなしで可能かを実証することでした。ルーベンカトリック大学の研究者であるClara DepommierとAmandine Everardは、生菌または低温殺菌菌を摂取しているグループにおいて、優れたコンプライアンス(サプリメントの摂取のしやすさ)と許容性(副作用がないこと)を観察しました。


結果

イメージ画像(出典:Steve BuissinneによるPixabayからの画像)


結論は明らかです。ヒトでの試験は、マウスですでに観察されたことを確認しました。(低温殺菌された)細菌の摂取は、健康状態の悪化を予防しました(糖尿病前症、心血管系リスク)。さらに良いことに、研究者らは肝臓の炎症マーカーの減少や被験者の体重のわずかな減少(平均2.3 kg)、そしてコレステロールレベルの低下を観察しました。対照的に、プラシーボにおける代謝パラメータ(インスリン抵抗性または高コレステロール血症)はに悪化してゆきました。

それは誰に利益をもたらしますか?

WHOによると、毎日3人に1人が世界中で心血管疾患で死亡しています。欧米諸国では2人に1人が太りすぎで心血管系のリスクが高いです。この研究はこれらのリスクを抑え、適切に使用されれば人口の半分に影響を与える(影響を抑える)可能性があるでしょう。

結論

結論として、この予備の研究は、サプリメントとして(低温殺菌された)アッカーマンシア菌 をヒトに投与することが実現可能であることを示し、心臓代謝危険因子を減少させアッカーマンシア菌 入りの栄養補助食品の有効性について有望な結果を報告しています。これらの結果は、最初の結果を確認してさらに説明するだけでなく、2021年までにサプリメントとしての細菌の商業化を支持するための大規模な研究への道を開くものです。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース&原著論文

🔵 英語ニュース:A bacteria likely to reduce the cardiovascular risks of 1 in 2 peopleルーベンカトリック大学 )

🔵 引用原著論文 :Supplementation with Akkermansia muciniphila in overweight and obese human volunteers: a proof-of-concept exploratory study(Nature Medicine , 2019 )

Seigoの追記

原著論文のサマリーの内容が、上のレビューには記述されていないのでここで追記しておきます。

今回は腸内フローラにあるたくさんの細菌の中から1種類だけをサプリメントとしてボランティアの方に与えました。1種類が大量に腸内に入れば腸内フローラのバランスが崩れるのではないかという心配がありましたが、その影響はなかったそうです。

また生菌でも低温殺菌したものでもどちらも効果があったことで、サプリにするのが容易になるとのことです。(つまり殺菌しても大丈夫なら室温に保存できるので、どこでも持ち運べるサプリとして売り出すことができます)

アッカーマンシア菌(Akkermansia) とは聞き慣れない名前ですが、これから注目される腸内フローラの1つの菌になりそうなので、覚えておきたいものです。

これでついに菌のサプリはただ腸内環境を整えるだけではなく、病気の人を治療することにも役立ってきそうですね。それで副作用がないのでしたら、現在の薬を超えますね。

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