グルテンフリーとは? 健康効果や小麦を食べないメリットについて
執筆日:2018年3月8日、更新日:2020年12月14日
グルテンフリーダイエットという言葉を巷で耳にするようになりましたが、なぜ小麦を避けるようになったのか? グルテンのメリット/デメリットについて伝えしていきます。この記事のもくじ
グルテンとは?
小麦に含まれるタンパク質です。
タンパク質は10%前後小麦に存在していますが、そのうち8割以上がグルテニンとグリアジニンで、水を吸ってこの2つが絡み合ってグルテンができます。
小麦粉に水足してこねこねし続けると黄色っぽいもっちりしたものができますが、それがグルテンです。
グルテンは麺のコシを与えてくれ、パンをふっくらと美味しくしてくれるのです。
お麩 (ふ) はグルテンから作られています。
お麩は精進料理でお坊さんがタンパク源として食していたと聞くと、なんだか体に良さそうではありますよね。
そんな良いタンパク源となるグルテンではありますが、10年くらい前、グルテンを全く食べない食事で体調が良くなったというスポーツ選手やセレブ達からグルテンフリーダイエットが流行りました。
小麦は腸の炎症だけではなく脳の炎症も導く
あのテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手はこのダイエットを2週間続けたところ、体重が減少し長年の鼻づまりが治り、頭もはっきり体も軽くなってすごくパフォーマンスがアップしたのだそうです。
そしてダイエットをやめたらまた元に戻ったのだそうです。
ジョコビッチ選手の鼻づまりや体のだるさ、頭がぼーっとするのは、遅延型アレルギーのよくある症状でもあります。
小麦に含まれるグルテンがアレルギー源となって炎症が起こり、原因不明のいろいろな不調を引き起こすと言われています。
またアレルギーを起こすだけでなく、グルテンはそのねっちりした性質から腸にひっついて宿便になるそうです。
また、小腸をおおっている細胞はグルテンアレルギーによって細胞の結びつきが弱くなって腸管に穴が開くという現象が起きます。これを「リーキーガット(腸漏れ)」といいます。
すると小麦に含まれているタンパク質の材料であるトリプトファン(必須アミノ酸)が血中へ入り「キヌレニン」という神経に毒性をもつ物質に変化し、これが脳の働きを鈍くしたり、うつ病の原因になったり、癌を誘発したりするという仮説があります(参考文献1~3)。
以前に私は遺伝子検査をして、グルテンに弱いアレルギーがあるという結果が出た記事を書きましたが、私と日本の友人を検査したところ、共にグルテンに感受性をもつある遺伝子を1つ持っていました。(もしもう1つもっていたらセリアック病と診断されます。)
日本人はグルテンに感受性をもつ遺伝子(変異があって正常に働いていない遺伝子)のタイプの人が多い可能性があり、グルテンをあまりとらないほうが良いのかもしれません。これから遺伝子検査が進めばもっとはっきりわかってくるでしょう。
グルテンに対するアレルギーの症状
・グルテンアレルギーははっきりとした症状が出ないので見過ごしがち
・こんな症状がある人は注意:
体が重く感じる
頭がぼんやりする
頭痛になりやすい
あまり食べてなくても体重が増える
風邪をよく引く
花粉症になりやすい
イライラしやすい
湿疹など皮膚のトラブルが多い
腸の調子があまり良くない(下痢・便秘)
胃の調子があまり良くない(胃腸の不快感)
吐き気が時々する
グルテンの入っている食品の見つけ方
さらに現代の小麦は、品種改良のためグルテンの比率が多い小麦になってしまっています。
もはや小麦は自然のものとはほど遠い食べ物になっていると言えるかも知れません。
その上グルテンを取り過ぎている現代の生活にも問題があるのかもしれません。(昔は「ソバ」や「唐揚げ」に小麦は使っていなかったと思いますが、最近は入れるようになってしまいました。)
ですから小麦を使わない和食をもっと多く取り入れたほうが良いのでしょう。
(現代の和食はアミノ酸調味料や砂糖の使いすぎで改悪化しておりますが)
アメリカの代替医療ではグルテンに感受性があるか(グルテンに対してアレルギーをもちやすいか)検査できますし(病院ではやってくれるところは少ない)、グルテンフリーダイエットで体調が良くなった人が多いです。
カリフォルニアのレストランでは、メニューに小麦が含まれているかいないか書いてあるところが多くなってきました。
そんなわけで花粉症や意味不明な体のだるさを感じている方がおられましたら、グルテンをとらないダイエットを1~2週間試してみると、体調が改善するかも知れません。
パスタ、そば、うどん、パン・フランスパン・サンドイッチ
加工デンプン 天ぷら お麩(特にグルテンが多い)
ソース、市販のカレーやシチューのルー、フランス料理のソース、グラタン
唐揚げ(片栗粉だけで作るものもありますが市販のものは小麦を入れものが多い)
ケーキ、お菓子、大福や草餅(表面の粉)
醤油*、味噌*
*醤油や味噌は、セリアック病の人は避けなければならないが、マイルドなアレルギーの方は食べても大丈夫。
私が特に避けているのはお麩(オフ)です。これはグルテンをカタマリにした食品ですので絶対に避けます。
天ぷらはおいしいのですが、炭水化物を油で揚げたものはアクリルアミド(神経毒)が発生するという研究論文が発表されておりますので、グルテンに限らずジャガイモを揚げて作ったポテトチップも避けています。
ソバは小麦は入ってないと思う人いるかもしれませんが日本のソバにはほとんど全てに小麦が入っています。なのでおソバを食べているときは小麦(グルテン)も取っていることを意識しましょう。おソバ屋さんによっては小麦の入っていない十割ソバ(じゅうわりそば)を出しているところもありますし、ネットからも購入可能です。(例えば楽天 ↓ )
カレーもオリジナルのインドカレーは小麦が入ってませんが、日本のカレーは小麦が入ってます。小麦の入ってないカレーもネットでは手に入れることができます。
小麦の悪はグルテンだけじゃない
意外と知られてませんが、小麦の半分以上(52.5%)は「アミロペクチンA」という糖質が含まれています。
これが隠れた爆弾なのです。
この「アミロペクチンA」のおかげで小麦(特にパン)の GI 値(グリセミック・インデックス)は砂糖やチョコレートよりも高いのです。
これはパンを食べた後では血糖値が上昇しやすいことを意味しています。
さらに日本で売られているほとんどのパンには砂糖が含まれていますのでますます血糖値が上がりやすくなっています。
またパスタ(スパゲティー)の場合は、GI値はパン(69~89)よりは低い値ですが(約58)、パスタは摂取後最大6時間たっても血糖値を上昇させつづける性質を持っており体への負担が大きいのです。
この原因は品種の差(パンコムギとデュラムコムギ)ではなく、混練(真空で練って密度を高める)や成型といったパスタ特有の製造工程が関係していると考えられています。
また血糖値が急に上昇することによって太りやすくなる原因にもなります。
参考資料:小麦のGI値と血糖上昇は、砂糖よりすごい(グルテンフリー&糖質制限life)
小麦に含まれる「アミロペクチンA」によって糖化が進み老化する可能性
さらに「アミロペクチンA」による糖質の増加は、「糖化」を促進する可能性があります。
糖化が進むことで、老化の主原因の「AGE(糖化最終生成物あるいは終末糖化産物)」が生成されてしまうのです。
グルテンは脳に快感を与え依存となる可能性
小麦グルテンは、脳に快感を与えるのでカフェインやお砂糖と同じように強い依存性があります。
そのため食欲増進を促してしまいます。
麻薬のように食べれば食べるほど食欲が増すので、摂取カロリーも増えてしまいます。
このスパイラルから抜け出るのは至難の業かもしれません。
グルテンフリーによる健康効果
グルテンフリーの食事に切り替えたところ、腹痛、花粉症、便秘、下痢、頭痛、不眠、めまい、生理痛、生理不順、疲労感、肌荒れなどが改善された方が多くおられるようです。
アレルギー症状が減り、体重も減った方もいます。
ですがもともと小麦にアレルギーがない人にグルテンフリーの食生活が健康に与える影響は、まだ科学的・医学的に分かっておりません。
グルテンフリーによるメリット
- 小麦による遅延性アレルギーがでなくなり、意味不明な倦怠感やうつ症状などアレルギーで誘発される症状がなくなる。
- 血糖値が上がりにくくなる
- 腸内環境の改善
- 糖化を抑制する
- 無駄なカロリーを取らず、太りすぎを防ぐ
- 炎症が減る
グルテンフリーのデメリット
小麦はビタミンB群やビタミンE、鉄分、カルシウム、リン、カリウムなどのミネラル、食物繊維が含まれています。「グルテンフリー」にしてしまうと、今まで小麦から摂取していた必要な栄養成分が足りなくなってしまう可能性があります。
小麦をとらない時は、玄米や雑穀ご飯を代わりに食べるようにし、それでも足りないときは、サプリや他の食品で補うなど栄養バランスを再考する必要があるかも知れません。
後書き
小麦をとらないダイエットは最初はたいへんでしたが、慣れてしまえば簡単です。
もともと日本食は小麦を使わない料理が多かったので、外食するなら日本食を選んで天ぷらやフライを頼まなければほぼ大丈夫です。
とにかく小麦をとらないと、体が軽くなり子供に戻った気分になりました。
変な吹き出物も顔にできなくなり体調は絶好調です!
皆さんも、グルテンアレルギーとは無縁なヘルシーライフをエンジョイしちゃいましょう!
seigo
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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