うつ病の腸内細菌を移植するとうつ病の症状まで移ってしまうことが判明! (2019年最新研究)

ニュース/レビュー

執筆日:2019年8月20日、更新日:2021年4月19日

農薬電磁波(5G)、そしてコロナによるストレスなどなどうつ病になる要因が増えてきております。このサイトにすでに紹介されたうつ病の大切な論文の復刻版を掲載します。

ーーー 2019年8月20日の記事より ーーー

ストレスによってうつ病のような症状が出てしまったラットの腸内細菌を、ストレスを受けていないラットに移植すると、そのうつ病の症状が移っただけでなく、脳の炎症まで移ってしまったという研究結果がありました。

これは腸内細菌が精神障害に影響を与えるという直接の証拠になり得る結果として注目されています。

この研究はフィラデルフィア小児病院から論文に発表され、またこの研究レビューは病院のサイトに発表されました。そのレビュー記事(英語)を翻訳しましたので紹介いたします。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

腸内細菌の移植は動物のうつ様行動、脳の炎症を変える

フィラデルフィア小児病院(CHOP)の研究者:ストレス生物学の知識は、最終的に精神疾患の細菌治療をもたらす可能性があります

科学者たちは、社会的ストレスに弱い動物からストレスを受けていない動物に腸内細菌を移植すると、移植された方にストレスに弱い行動を引き起こす可能性があることを示しました。この研究は脳と腸の間の生物学的な相互作用について明らかにし、うつ病などの精神障害の(治療に役立つ)プロバイオティクス療法につながるかもしれません。

「私たちは動物実験でうつ型行動を示すラットにおいて、ストレスが腸内微生物叢 ー つまり腸内細菌の数を変えることを発見しました。さらに、ストレスに弱いラットからストレスを受けていないラットに細菌を移植すると、移植された動物は似た様な行動(ストレスに弱い行動)を示しました」とこの研究のリーダーでフィラデルフィア小児病院(Children’s Hospital of Philadelphia (CHOP))の麻酔科と救急救命の神経学者であるシーマ・バトナガール(Seema Bhatnagar)博士は述べています。

ストレスに弱いラットの脳で炎症も増加し、ストレスに弱い動物から移植後のストレスを受けていないラットにも(脳の)炎症が現れましたとバトナガール博士は加えました。この研究チームはこの研究結果を2019年3月4日の Molecular Psychiatry(分子精神医学) 誌にオンラインで発表しました。

「うつなのは僕のせいじゃない。腸内細菌のせいなんだ〜」(イメージ画像の出典:Robert-Owen-WahlによるPixabayからの画像)


バトナガール博士はフィラデルフィア小児病院(CHOP)でストレス神経生物学プログラムを率いており、共著者の多くはCHOPの研究者とペンシルバニア大学ぺレルマン医学大学院で共同研究しているCHOPの微生物研究プログラムのメンバーです。このプログラムは体の中にいつ微生物群集をよく理解し、人の健康を改善するために特性を変えることを目的としています。このプログラムの趙春宇(Chunyu Zhao)博士は微生物叢分析の専門家で、共同執筆者です。

科学者たちはすでに脳と腸が互いに影響していることを知っています。ヒトでは、精神障害の患者は健康な人の微生物と比べて腸内細菌の種類が違っており同様の知見が精神疾患の動物モデルでも見られます。この研究では、脳の炎症、菌とストレスに関するメカニズムを調べました。

「人はすべて同じストレスに同じように反応するわけではありません。他の人よりも精神障害を発症しやすい人もいれば、立ち直りが早い人もいます。同様のことが実験動物にも起こります。」とバトナガール博士は述べています。

げっ歯類(ラットやネズミなど)では、ヒエラルキーと縄張りがストレスの主な原因です。研究室では、動物がストレスに対処するためにどのような対処法を使うか調べるために、強制水泳テストや社会的敗北テストなどの検証済み行動ツールを用いてストレス要因をモデル化しています。

より受動的に対応するラットは、不安型およびうつ様行動も示すため、ストレスの影響に対してより弱くなります。一方、より積極的なラットは、社会的ストレスの影響に対して回復力があります。研究者らはこれらの評価に基づいて、動物を「弱々しい (Vulnerable)」か「回復力がある (Resilient)」かに分類しました。

それから研究チームは、弱々しいラット、回復力があるラット、ストレスのないコントロール、およびプラシーボのグルーブの糞便中の腸内細菌を分析しました。その結果、弱々しいラットに他のグループよりもクロストリジウムなどの特定の細菌の割合が高いことが発見されました。

彼らは次に、弱々しいラット、回復力があるラット、ストレスを受けていないコントロールの3つのドナーグループから、ストレスを受けたことのないナイーブなラットに糞便移植を行いました。彼らは、異なる微生物叢がうつ病様行動を変えたことを発見しました。弱々しいラットから移植を受けたラットはうつ病のような行動をとる可能性が高かったのに対し、回復力がある動物またはストレスのない動物からの移植を受けたラットは、行動または神経測定において変化を示しませんでした。

レシピエントにおける脳の炎症過程のパターンもまた弱々しい動物の脳で見られるものと似て、クロストリジウムなどの腸内細菌の免疫調節効果が炎症を促進した可能性を示唆します。しかし移植は不安行動を著しく変えることはありませんでした。

弱々いラットからの腸移植は、ストレスを受けていないレシピエントにおいてうつ様行動を増加させましたが、不安様行動は増加させなかったという発見は、異なるメカニズムを示すかもしれません。著者はこの違いは、うつ型の行動が腸内細菌によってより規制されているのに対して、不安型の行動は主にストレス経験によって生じる神経活動の変化によって影響を受けることを示唆していると述べました。

「さらに多くの研究が必要ですが、私たちは人の精神障害を治療するために腸内細菌と脳相関の知識を活用し、将来可能な応用を構想しています。人々はすでに市販のプロバイオティクスをサプリメントとして使用しています。最終的に、もし特定の細菌による有益な行動への影響を検証することが可能になれば、新たな精神科治療への道を開くことができます。」とバトナガール博士は述べています。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Transplanting Gut Bacteria Alters Depression-related Behavior, Brain Inflammation in AnimalsMay 07, 2019

🔵 原著論文 :The gut microbiome regulates the increases in depressive-type behaviors and in inflammatory processes in the ventral hippocampus of stress vulnerable rats, (Molecular Psychiatry, 2019 )

Seigoの追記

腸内細菌の移植の研究では健常者の腸内細菌を移植することが多いですが、今回は精神的な病をもっている動物から健康な動物へ腸内細菌を移植したらどうなるかという研究です。

結果はうつの症状は移るということでした。

うつ病は実は自分の思いが悪いのではなく、実は腸内細菌のバランスが悪いせいでなっているのかもしれませんね。

そうなるとコンビニの食品ばかり食べていると「うつ」になりやすいなどの結果が将来証明されるかもしれません。

腸内細菌移植で精神的なうつ状態だけでなく脳の炎症も引き継がれた

フィラデルフィアの研究チームは精神状態の分析だけではなく、脳の状態の変化や、どの腸内細菌が原因でうつ症状を悪化させたかも調べておりましたのでここでメモしておきます。

🔵 うつ病のラットからの腸内細菌移植は、うつ病が引き継がれただけではなく、脳の炎症(特に海馬の腹側の部位)も同じように生じていることを確認しました。(この情報は原著論文のアブストラクトに記載してあります)

🔵 そしてその原因となる悪玉菌はクロストリジウム属であることがわかっており、これが脳の炎症やうつ症状を引き起こしているのではないかと推測されました。

うつっぽい方はぜひこの研究結果をお知りになり、善玉菌を多く含むヨーグルトや納豆、お新香などを多く摂り、運動をすれば、変な薬を飲まないでも(薬は腸内細菌のバランスを悪くすることが多いので)腸内細菌を整えれば治ってしまうかもしれませんね!

うつ病の原因菌と疑われたクロストリジウム属関係の書籍


 

 

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