温熱療法+免疫療法(CAR T細胞)が悪性腫瘍に効果的であることが判明!? (2019年米国研究)

健康情報

今回は腫瘍組織に加熱処理をすると免疫細胞(T細胞)を利用したガン治療がうまくいったという報告です。

UCLAがのこの研究結果をプレスリリース(英文)しましたので、それを翻訳したものをここでご紹介します。

ニュースタイトル「腫瘍の加熱でCAR T療法がより効果的に」

イメージ画像(出典:がん細胞_by キラーT細胞/イラストAC & laser by OpenClipart-Vectors/Pixabay)


UCLAジョンソン総合がんセンター(UCLA Jonsson Comprehensive Cancer)の科学者らによる前臨床試験から、CAR T細胞療法中に固形腫瘍に熱を与えることで治療の成功性を高められることが示唆されます。

研究者らは、光熱アブレーションと呼ばれる加熱技術がCAR T細胞の注入と組み合わされると、マウスにおいて最大20日間メラノーマ腫瘍の増殖を抑制することを発見しました。この組み合わせで治療したマウスのうち、33%に20日を越えても腫瘍の発生がありませんでした。

キメラ抗原受容体、すなわちCARを用いて遺伝子操作されたT細胞は、リンパ腫および白血病の多くの患者を治療するために成功裡に使用されてきました。しかし、CAR T細胞療法は固形腫瘍の治療にはあまり成功していません。なぜなら、腫瘍は保護的な微小環境を持っているため、CAR T細胞が腫瘍に侵入してT細胞を活性化させるのを難しくするからです。

UCLAの科学者たちは、CAR T療法と光熱療法を組み合わせることでその障害を克服できるかどうかをテストすることにしました。光熱療法は、がん細胞を殺すためにレーザーエネルギーからの熱を使用する最小侵襲的な技術です。すでにさまざまな癌や他の病状の治療に使われています。研究者らは腫瘍をよりよく攻撃するためにCAR T細胞を増強すべく助長する可能性を確かめるために摂氏約40度(華氏約104度)の温熱療法をテストしました。

UCLA主導のチームは、ヒト黒色腫腫瘍を注射したマウスでこの技術をテストしました。光熱剤を腫瘍に注入し、次にそれらを加熱するためにレーザーを照射してから、CAR T細胞を静脈内注射しました。レーザーの温度を約40℃ に上げると、腫瘍に関連する血管が拡張し、T細胞の増殖が促進されました。

CAR T細胞療法の力を高めることによって、この技術は最終的に治療が困難な固形腫瘍を持つ人々の予後を改善することができます。研究者は、それが人間でテストされることができるかどうか決定する前に加熱期間と温度を最適化するために動物で戦略をテストを続けるでしょう。

UCLA サミュエル工学校(UCLA Samueli School of Engineering)の生物工学科教授であり、ジョンソン総合がんセンター及びUCLAのカリフォルニアナノシステム研究所(California NanoSystems Institute)のメンバーであるチェングー(鎮区/Zhen Gu)博士が、この研究の共同主任著者です。この論文の他の主執筆者はノースカロライナ大学チャペルヒル校(North Carolina, Chapel Hill)のジナピエトロドッティ博士(Gianpietro Dotti)です。主任著者は、チェングーの研究室のチアンチェン(Qian Chen)博士です。

この研究はアドヴァンストマテリアル誌(Advanced Materials)に掲載されています。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Heating up tumors could make CAR T therapy more effective, study finds( University of California, Los Angeles )

🔵 原著論文 :Photothermal Therapy Promotes Tumor Infiltration and Antitumor Activity of CAR T Cells ( Advanced Materials ,2019 )

 

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