米国政府が禁止しなかった子供のIQを下げる農薬をカリフォルニアが単独禁止へ

健康情報

子供の脳に障害を与え多動性の増加の原因となっていた農薬クロルピリホスがようやくカリフォルニアで禁止になりました。

この物質は中国製の冷凍食品から検出されたり、日本でもシックハウスで問題となっていた物質です。(日本では家具には使用禁止されましたが、農薬としては使用が禁止されていません。( 農薬評価書「クロルピリホス」2018年参照 )

今回はこのニュースを取り上げたEcoWatchのレビュー記事を翻訳しました。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

このニュースが日本でも広まりこの農薬が早く禁止になることを願ってやみません。

クロルピリホスを最も使用しているカリフォルニア州は脳に損傷を与える農薬の禁止を発表

カリフォルニア州は、トランプ政権下の米合衆国環境保護庁(EPA)が全国レベルで禁止を延期している脳に有害な農薬を禁止する、と水曜日(2019年5月8日)に発表しました。

クロルピリホスアーモンド、柑橘類、ブドウ、綿、クルミや他の作物に使用されますが、子供の健康と神経学的発達を損なうことが示されています。

アーモンドによく使われるクロルピリホス(イメージ画像の出典:PezibearによるPixabayからの画像)


「数えきれない人々がこの化学物質に苦しんできました。」とカリフォルニア州環境保護局(Cal-EPA)のジャレッド・ブルメンフィルドはThe Guardians紙に語りました。「クロルピリホスが散布された農園のすぐ近くにたくさんの人々が住んでいて、働いたり学校に通っています・・・・それは環境衛生と正義の問題です。」

ワシントンポスト紙によると、禁止は6ヵ月〜2年の間で禁止が実施され、より安全な代替手段への移行を支援するために、民主党のギャビンニューサム(Gavin Newsom)カリフォルニア州知事から570万ドルの資金が付きます。カリフォルニアはハワイとニューヨークに続いてクロルピリホスの禁止を承認し、ニュージャージー、コネチカット、オレゴンでも禁止の法案が検討されています。

米合衆国環境保護庁(EPA)はオバマ政権時に農薬禁止を推奨しましたが、トランプ大統領がスコット・プルイットを長官に指名し、2017年にその取り組みを無効にしました。その後、環境団体が当局を訴えました。続いて法廷闘争における最新の進展で、4月に連邦裁判官が7月中旬までに禁止を最終決定とすることをEPAに命じました

「ニューソム知事は、トランプ政権が拒否したことをしました。子どもたちや農家や他の何百万人もの人々がこの神経毒性農薬にさらされることから守りました。」と環境作業部会(EWG)のプレジデントのケン・クックはワシントン・ポストの報告書で述べました。 「知事の行動により、カリフォルニアは再び公衆衛生を守ることにおいてリーダーシップを発揮しています。」

柑橘類によく使われるクロルピリホス(イメージ画像の出典:Photo by Aniketh Kanukurthi on Unsplash)


カリフォルニア大学サンフランシスコ医大教授で、元Cal-EPA副長官のジーナ・ソロモンは、クロルピリホス殺虫剤の中でも独特であり、科学者はそれが人間にどのように害を与えるかについてかなり知っていると語った。

「私たちは、それが子供たちの発達にどういう影響を及ぼすか、そして科学はCal-EPAが発表する行動の基礎であることをよく知っています。多くの農薬は実験用ラットでよく研究されていますが、この場合はそれが人々に何をするか実際に知っているのです。」と彼女は述べています。

クロルピリホス胎児の脳の発達に害を及ぼしたり、子供のIQや読書能力の低下多動性の増加の原因になることが示されています。子宮内でこの農薬にさらされた子供たちの頭のサイズはさらに小さくなるとソロモン博士は言及しました。

「科学は最も信頼がおけます。この仕事は米国EPAによってしっかりなされるべきでした。」とブルーメンフェルド博士はガーディアンに言いました。

農薬クロルピリホスがようやくカリフォルニアで禁止へ(イメージ画像の出典:Photo by Karina Muñoz on Unsplash)


しかしソロモン博士はカリフォルニアはアメリカで果物や野菜の大半を栽培しているので、禁止は他の州にもプラスに影響するだろうと言いました。

トランプ政権がクロルピリホスの禁止を停止したと活動家が言う理由の1つは、農薬メーカーの前身であるダウ・デュポン(DowDuPont)社がトランプに寄付したからとガーディアンは報じました。同社はカリフォルニア州の禁止に異議を唱えると約束しました。

「この提案は健康、安全、環境の観点から製品を調査した4,000以上の研究と報告のしっかりしたデータベースを無視しています。」とダウデュポン(DowDuPont)の広報担当者、グレッグ・シュミッツ(Gregg Schmidt)氏はワシントンポスト紙宛てのEメールで述べました。「私たちはこの提案と戦うためにあらゆるオプションを検討しています。」

カリフォルニアでは、クロルピリホスの使用量は2005年の200万ポンド(1000トン)から2016年には90万ポンド(450トン)に減少しましたが、米国全体では依然として一番多く使われる農薬です。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース

🔵 英語ニュース:California, Nation’s Top User of Chlorpyrifos, Announces Ban on Brain-Damaging PesticideEcoWatch)May. 09, 2019

Seigoの追記

クロルピリホスとはこんな形をしています。

クロルピリホスの構造(出典:Wikimedia Commons, by Benjah-bmm27, Link


リン原子(オレンジ色)は1つしか含まれませんが、有機リン化合物として分類されています。

コリンエステラーゼ阻害作用(つまり神経伝達物質の阻害剤です)を持ち、殺虫効果を持つことから農薬やシロアリ駆除などに用いられています。

少し前に中国製の冷凍食品から検出された物質です。

子供の脳の発育を阻害し、IQの低下や多動性障害などを引き起こすことが分かっているようですが、農薬の使用禁止にはこれまでなされていませんでした。

日本でもシックハウス問題が起きたときにこの物質は使用禁止されましたが、農薬としては使われているでしょう。日本政府が禁止するのはいつになるか分かりませんので、皆さん自衛策をとりましょう!

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