炎症を引き起こす6つの食べ物とは? 腸炎やリーキーガッドに関連【論文の裏付けデータあり】
ニュース/レビュー
今回は「炎症を引き起こす食べ物」についての最新レビューを学術論文の引用付きでご紹介します。
EcoWatch(英文)からのレビュー記事を翻訳しましたので、ここで紹介させていただきます。
〔記事中の括弧内の数字は、その情報のもとになった引用文献のリンクが貼ってありますので、情報源を調べたい方リンクをたどって調べることができます。 ただし英語ですよ 😅〕
この記事のもくじ
炎症を引き起こす6つの食べ物
ライター:Franziska Spritzler (管理栄養士/糖尿病療養指導士)
炎症は状況によって良くも悪くもなり得ます。一方で怪我や病気の時に、炎症は体を守ってくれます。
体を病気から防御してくれ、治癒力を促進します。
他方では、慢性的で長時間続く体内の炎症は糖尿病や心臓病、肥満といった病のリスクを上げることに繋がってしまいます(1, 2, 3)。
興味深いことに、あなたが食べるものが体内の炎症に大いに影響をもたらすのです。
以下が炎症を引き起こす可能性のある6つの食べ物になります。
① 砂糖とハイフルクトースコーンシロップ(果糖ぶどう糖液糖)
西洋の食文化には主に砂糖 (テーブルシュガー, スクロース)とハイフルクトースコーンシロップの2種類の添加糖類があります。
砂糖は50%のグルコースと50%のフルクトースを含んでおり、とハイフルクトースコーンシロップは45%のグルコースと55%のフルクトースを含んでいます。
砂糖 | ハイフルクトースコーンシロップ | |
グルコース | 50% | 45% |
フルクトース | 50% | 55% |
ある調査では、ハイフルクトースコーンシロップを与えられたマウスが 乳がんを患い肺にまで転移 しました。
原因の一つとして、糖による炎症反応が挙げられています(6)。
また別の調査では、糖分の多い食事をしたマウスの オメガ3脂肪酸の抗炎症効果が抑制 されました (7)。
その上、糖分無調整の炭酸飲料やダイエット炭酸飲料、牛乳、あるいは水を飲んだ人を対象にしたランダム臨床試験では、糖分無調整の炭酸飲料を飲んだグループのみが 尿酸値が上がりました。尿酸値が上がると、炎症とインスリン抵抗性を引き起こします (8)。
また、砂糖は害を与える可能性を持っています。なぜなら、フルクトースを過剰に摂取してしまうからです。
フルーツや野菜などから少量のフルクトースを取るのは大丈夫ですが、添加糖類から大量に摂取するのは良くありません。
フルクトースを大量に摂取するどうなる?
大量にフルクトースを摂取することで、 肥満 や インスリン抵抗性 、 糖尿病 、 脂肪肝 、 がん 、 慢性腎臓病 になる可能性があります(9, 10, 11, 12, 13, 14, 15)。また、フルクトースは血管内部を覆う 内皮細胞に炎症 を起こすことを研究者は認めており、これは心臓病の危険因子でもあります(16)。
フルクトースを大量摂取することで、様々な炎症マーカーが増えてしまうことがマウスと人体で示されてきました (10, 17, 18, 13, 19, 20)。
添加糖類がたくさん含まれる食べものとして、キャンディやチョコレート、ソフトドリンク、ケーキ、クッキー、ドーナツ、甘いペイストリー、そしてシリアルが挙げられます。
< 要約 >
砂糖や異性化糖が多く含まれた食べものを摂取すると、病気に繋がる炎症を引き起こします。また、オメガ3脂肪酸の抗炎症効果を弱める可能性もあります。
② 人工的なトランス型不飽和脂肪酸
人工的なトランス型不飽和脂肪酸は脂肪の中で一番不健康なもののようです。よりしっかり固くするために、液体の不飽和脂肪に水素を添加することによって、人工的なトランス型不飽和脂肪酸は作られます。
成分リストには、トランス脂肪酸はよく「部分水素添加油脂」と表示されます。
大抵のマーガリンはトランス脂肪酸を含んでおり、保存可能期間を延ばす為に、よくトランス脂肪酸が加工食品に加えられています。
乳製品や肉に含まれる天然由来のトランス脂肪酸とは違って、人工的なトランス脂肪酸は炎症を引き起こし、病気のリスクが上がることが示されてきました(21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29)。
体に良いHDLコレステロールの減少に加え、トランス脂肪酸は動脈を覆う内皮細胞の機能を弱めます。これは心臓病のリスクファクターとなります(26)。
人工的なトランス脂肪酸の摂取は、炎症マーカーであるCRP(C反応性蛋白)の値を高くすることに繋がります。
実際にある調査では、トランス脂肪酸を最も多く摂取した女性のCRP値が78%上がったことがわかりました(26)。
肥満の高齢女性を対象にしたランダム比較試験では、大豆硬化油がパーム油やひまわり油よりも著しく炎症を促進させたことがわかりました(27)。
健康体の人とコレステロールが高い人を対象にした研究では、トランス脂肪酸に反応し、どちらも同様に炎症マーカーが増えることがわかりました(28, 29)。
トランス脂肪酸を多く含む食べものとしては、フライドポテトの他にも揚げ物のファーストフード、電子レンジ用のポップコーン、マーガリン、植物性ショートニング、パックのケーキやクッキー、ペイストリー、部分水素添加植物油とラベルに表記されている加工食品が挙げられます。
< 要約 >
人工的なトランス脂肪酸を摂取すると、炎症を促進し、心臓病などの様々な病気のリスクを上げます。
③ 植物油や種油
20世紀の間に、植物油の消費は130%も上がりました。大豆油のような植物油はオメガ6脂肪酸を非常に多く含む為、炎症を促進すると確信する科学者もいます(30)。規定されているある程度のオメガ6脂肪酸は必要ですが、典型的な西洋の食事には必要以上に含みます。
実際に、医療関係者が勧めるのは脂肪の多い魚などオメガ3脂肪酸がよりたくさん含まれた食べものです。理由としては、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の割合を改善する為と、オメガ3の抗炎症効果の恩恵を受ける為です。
ある一つの研究では、オメガ6とオメガ3を20:1の比率で与えられたラットは、1:1または5:1の比率で与えられたものよりずっと高い炎症マーカーのレベル(水準)を示しました (31)。
しかし、オメガ6脂肪酸で炎症が促進されたという証言は今や限られたものになっています。
数々の対照研究では、最も一般的な食事由来のオメガ6脂肪酸であるリノール酸が炎症マーカーに何も影響をもたらさないことが示されています (32, 33)。
確かな結論を出す前に、さらなる調査が必要でしょう。
植物油や種油は料理用の油として利用され、多くの加工食品の材料にも使用されています。
< 要約 >
植物油は摂取しすぎると、中に多く含まれるオメガ6脂肪酸が炎症を促進する可能性があると示唆している研究もいくつかあります。しかし、その根拠は食い違っていることもあるので、さらに詳しく調べる必要があります。
④ 精製炭水化物
炭水化物はいわれのない非難を受け続けてきました。しかし実際は、すべての炭水化物が問題があるわけではありません。
大昔の人類は何千年ものあいだ、草、根、果実という形で高繊維質の生の炭水化物類を消費していました(34)。
しかし、精製炭水化物を食べると炎症を引き起こす可能性があります(34, 35, 36, 37, 38)。
精製した炭水化物はほとんどの食物繊維が取り除かれてしまいます。食物繊維は満腹感を増進し、血糖値のコントロールを改善し、なおかつ腸内の善玉菌にえさを与えます。
研究者たちは、現代の精製炭水化物は炎症性の腸内細菌の成長を促すと考えています。
これは肥満や 炎症性腸疾患 のリスクを上げてしまう可能性があります(34, 36)。
精製炭水化物は未精製のものよりもグリセミック指数(GI)がより高いです。グリセミック指数が高い食べものは低いものよりも、血糖値をより急速に上げます。
ある調査では、グリセミック指数が高い食べものを最も多く摂取した高齢者が 慢性閉塞性肺疾患(COPD) のような炎症性疾患で亡くなる可能性が2.9倍ありました (37)。
対照研究では、若くて健康な男性が50グラムの精製炭水化物を含む白パンを食べると血糖値が上がり、炎症マーカーが増加しました(38)。
精製された炭水化物はキャンディやパン、パスタ、ペイストリー、シリアル、クッキー、ケーキ、甘いソフトドリンク、添加糖類や小麦粉を含む加工食品に見られます。
< 要約 >
食物繊維が多く含まれた、未加工の炭水化物は健康的です。しかし、精製炭水化物は血糖値を上げ、病気につながる可能性のある炎症を促進します。
⑤ 過度のアルコール
適度なアルコール摂取は健康に良いことが示されてきました。しかし、飲酒量が多いと様々な問題につながる可能性があります。
ある調査で、アルコールを摂取した人は炎症マーカーであるCRP(C反応性蛋白)が増えました。アルコールを摂取した人ほど、CRPが増加していました (39)。
お酒を飲み過ぎる人は結腸から体内に入り込む細菌毒素で病を引き起こすかもしれません。この症状はよくリーキーガットと呼ばれますが、臓器のダメージにつながる炎症を広げる可能性があります(40, 41)。
アルコール関連の体の問題を避ける為にも、男性のアルコール摂取は一日に2スタンダードドリンクス(純アルコール20g)、女性は1スタンダードドリンク(純アルコール10g)に抑えるべきでしょう。
< 要約 >
大量のアルコール摂取は炎症を増加させ、体内に炎症を広げるリーキーガット症候群に繋がる恐れがあります。
⑥ 加工肉
加工肉を食べると、 心臓病 や 糖尿病 、 胃がん 、 結腸がん のリスクが増えやすくなります(42, 43, 44)。加工肉の一般的な種類としては、ソーセージ、ベーコン、ハム、薫製肉、ビーフジャーキーがあります。
加工肉はその他の多くの肉よりも、終末糖化産物(AGEs)を含んでいます。
AGEsは加熱肉の他に、高温の食べものに発生します。AGEsは炎症を引き起こすといわれています。
加工肉の消費に関連した病気のうち、 結腸がん の関連性は最も高いです。
結腸がん の一因となる要因はたくさんありますが、一つの作用として、結腸細胞による加工肉に対する炎症反応であると考えられています(47)。
< 要約 >
加工肉はAGEsのような炎症性化合物を多く含み、結腸がんと強い関連性がある要因の一つとして、炎症反応のせいである可能性があります。
【結論】
炎症が反応する要因は様々です。
中には汚染やけが、病気など防ぎにくいものもあります。
しかし、食に関しての要因であれば自分で抑制できますよね。
健康な状態を維持するために原因になりそうな食べものは制限し、炎症を抑えましょう。
また、抗炎症の食べものを摂取するようにできるといいですね。
引用記事
🔵 These 6 Foods Cause Inflammation( EcoWatch )炎症の関連書籍
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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