日経サイエンスにマイコンキットを購入し組み立てに挑戦した記事が《1977年6月》 

ビンテージ・コンピュータ

ホームブリュークラブの司会・進行役を務めていたリー・フェルゼンスタイン氏は当時、建築の仕事をしながらマイコンの普及活動に多大なる尽力をされた偉大な方です。

その方が作ったマイコンキットSol-20が1977年の日経サイエンスに取り上げられていて、実際に購入し組み立てている記事を見つけましたのでご紹介致します。


当時マイコンは組み立てキットだった

マイコンとはマイクロコンピュータの略で、CPUが小型化されようやく家庭にもコンピュータが入ってきた頃の言葉ですが、もともと完成品として売ってなくて、購入すると部品がバラバラやってくるので自分で半田付けして組み立てなくてはいけませんでした。(組み立てられた完成品も売られていましたが、長期間待たされることがおおかったそうです。)

組み立てに失敗すれば、コンピューターは当然使えないし、プログラムを動かすこともゲームをすることもできません

しかも1977年当時は国内ではSharpのMZシリーズはまだ売り出されておらず、唯一NECがTK-80というトレーニングキットを売っていたのみでした。

日本のマイコン雑誌である『マイコン』や『月刊アスキー』『RAM』などはまだ発刊されておらず、唯一『I/O』(工学社)が1967年11月から利用できるのみでした。日本経済新聞社の姉妹紙である「エレクトロニクス」や『電子科学』そして今回紹介する『サイエンス』などの数少ない情報誌が、ときどきマイコンに関する情報を特集して下さっておりましたので、それを通してしかコンピュータに関する情報をキャッチできなかったのではないかと推察します

日経『サイエンス』1977年6月号



日経『サイエンス』1977年6月号、表紙にSol-20の組み立てた後の写真が載っています。Seigoの蔵書より


Sol-20を組み立てに挑戦しているページ

76ページから88ページまで13ページを費やしてキットの組み立てリポートをしています。

今でいうYouTuberによる新製品の「開封レポート」も顔負けの詳しさで紹介されています。

値段を調べるとウィキペディアに745,000円(Altair 8800のページに掲載)とありとても庶民の手の出る値段ではありませんでした。

この記事によれば、Sol-20の特色は一台でキーボード、CRTディスプレイ・インターフェースを持つことが長所のようです。(このほかに発売されて間もないApple IIだけがキーボードがついていました。)

またSol-20付属品として次のようなものがありました:

3レベルのBASIC(BASIC-5、8k BASIC、ディスクBASIC)
スタートレックを基にしたTREK80
8080 FOCAL
ゲームパック
ALS-8 アセンブラ
SIM-1(シュミレータ)
TXT-2(テキスト・エディタ)

ましたね、スタートレックのゲーム!

先日お話した1971年から大型コンピューターにいつも潜んでいたゲームがここにも移植されています。

ホームブリューコンピュータ出身の人は気軽なサービスでゲームをつけてくれますが、ビルの所のような真面目な会社はこのような遊びあまり見られませんでした。


リー・フェルゼンスタイン氏とSol-20の完成品

ウィキペディアに写真がありましたので紹介させていただきます。


出展:By Marcin Wichary from San Francisco, U.S.A., cropped by Gorinin – Lee Felsenstein and Bruce Damer, CC BY 2.0, Link



出展:By Swtpc6800 en:User:Swtpc6800 Michael Holley – Own work, Public Domain, Link


フェルゼンスタイン氏の2005年のお姿のようです。

そしてSol-20はApple-1発売同じ年である1976年に発売されました。

Apple-1はケースなしで666ドルでしたが(しかもウォズとジョブスが組み立てた完成品)、Sol-20はケースとキーボードそして16kカードをつけて995ドルという価格設定でした(組み立てられたものは2129ドル)。 以下はSol-20の仕様です。


Sol-20 Terminal Computer (Processor Technology)
発売 1976年6月
値段 キット $2129, 完成品 $995
売れた台数 約10,000台
CPU Intel 8080, 2.0 MHz
RAM 1K, 64K max
ディスプレイ 64 X 16 text
拡張性 S-100 bus with 5 slots
ポート serial, parallel, cassette
記憶装置 external cassette, optional floppy drive
OS BASIC, CP/M

Sol-20用の有名なゲーム「ターゲット」

Sol-20用には当時有名だった「ターゲット」というゲームを動かすことができて、作ったはやはり同じホームブリューコンピュータのメンバーだったスティーブ・ドンピアという人でした。

ドンピアやウォズのような才能のある人たちが、多くの人を魅了するようなゲームをマイコン上で作成し安く提供したことでマイコン・ブームの火付け役となったでしょう。

ゲームの様子をYouTubeで見つけましたので、興味のある方はご覧下さい。

最後までご覧いただきありがとう!
Seigo

参考資料

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。