ビタミンDを少し多めに摂ると老化さえブッ止まることが判明!?【最新研究】

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ビタミンDがまたまたやってくれました〜
ビタミンDを少し多めに摂取すると、老人の老化さえブッ止めてしまうことが判明しました〜 🎉🎉🎉🎉
この研究はあのナイアガラの滝のほとり、ニューヨーク州のバッファロー大学からの研究発表です!
その論文のポイントをまとめました〜 👇

ビタミンD不足で高齢マウスの握力の低下や老衰に

高齢者は血中でのビタミンDが少ない人が多く、機能が低下したり老衰と関連があります。前の研究で中年期で慢性的にビタミンDが不足していると運動能力が低下したり脂肪が増えたりすることを報告しましたが、ここでは24〜28か月齢の高齢マウスでビタミンDと老衰の関係を比べてみました。

ビタミンDの服用量が不足(125 IU/kg)、十分(1000 IU/kg)、過剰( 8000 IU/kg)のグループで4ヵ月間、マウスの体組成(DEXA)、身体能力、老衰度を見ると、不足マウスでは握力がより弱かったのに対し、過剰マウスでは、3か月後に一時的に回転する棒から落ちるテストで優れたパフォーマンスを示しましたが、走りや歩行速度などに変化はありませんでした。ただし、過剰以外のマウスは比較的衰えを示しました。つまりビタミンDは老衰に影響があるということです。

研究の背景

老衰は障害が起きたり、1人で何かできなくなったり、死亡リスクが上がったりするような悪い結果を招きやすい状態のことです。しかも老衰は65歳以上の10%、85歳以上の50%が歳とともに進行していきます。
ビタミンDの不足(25-OHビタミンD <30 ng / mL)は世界で70%もあり問題となっています。特に高齢者は太陽を浴びる時間が減り、肌でコレカルシフェロール(ビタミンD3)を作る力が低下していくので、ビタミンD不足になりがちです。よってビタミンDと老衰の関係を調べることで健康的な老化の助けとなります。

さらに骨粗しょう症やサルコペニア(サルコペニア加齢によって起こる筋肉の低下)は加齢と関係しており老衰に影響するかもしれません。特に興味深いのはビタミンDがサルコペニアと関係していることです。
またビタミンD不足の中年マウスで運動能力が低下する研究では、6ヵ月齢の若いマウスに十分(1000 IU/ kg)、不足(125 IU/ kg)のビタミンD3を与え、強度、有酸素持久力、探索行動を一年調べました。他には、ビタミンD受容体を潰したマウスでは、水泳や回転棒に乗っかっていられるかのテストが悪かったことがわかっています。しかし老齢マウスの身体能力でビタミンDの影響は調査されていません。

さらに、ビタミンD不足では老衰のリスクが高くなります。しかしこれまで、遺伝や環境が同じマウスで研究されていません。ここでの私たちの研究の目的は、老齢マウスの老衰、身体能力、体組成とビタミンD不足の影響とビタミンD不足の治療がいかに大切かを知ることです。この研究でビタミンDが身体能力に影響を与え、ビタミンDの過剰なレベルのみが老衰の進行を弱めることがわかりました。

研究方法

マウス
24ヵ月齢のC57BL / 6J雄マウス(黒いマウス)を用い、体重を考慮してビタミンD(125 IU12匹、1000 IU8匹、8000 IU11匹)グループに分け、 4ヵ月ビタミンDを与えました。

測定
・ELISAによる血清中の25-OHビタミンDと副甲状腺ホルモン(PTH)
・二重X線吸収測定法による骨塩密度、体脂肪率、除脂肪量の測定
・身体能力テスト
・ロータロッドテスト 5レーンのRota-Rod機器で、5分以上4〜40 RPMの速さで回転させた棒の上にマウスを乗せマウスが棒から落ちるか3回試し、最良の2回の平均値。
・歩行速度テスト 約1mの狭いトラックのスタート点から暗いセーフハウスに行くまでの歩く時間を3回中最良の2回の平均値。
・オープンフィールドアクティビティ 赤外線カメラ付きオープンフィールド(40×40×35cm)にマウスを30分間入れ象限交差点と飼育の総数を決定。
・握力 マウスをデバイス上に置き、手を離すまで地面と平行に引っ張り握力計で5回のうち最良の3回の平均値。
・逆グリップ耐久性 40cmのオープンエンドボックスの上に1.4cmのクロスハッチングを備えた30×30cmのワイヤーグリッドを含デバイス。2回のうち良い方でスコアリング。マウスをグリッド上で裏返し、落下時間を測定。
・トレッドミルテスト 傾斜のない(フラット-0°)と上り坂(25°)のトレッドミルベルトを60分、5〜35 m / min加速し、マウスが疲れたら終わり。
・老衰 ①体重減少 ②握力 ③トレッドミル ④歩行速度 ⑤オープンフィールド活動の各パラメーターに対して1ポイントとし、3以上のマウスは老衰。


結果

・125 IUマウスのビタミンDは1ヵ月後(25ヵ月齢; 24ヵ月齢から実験スタート)に急速に低下、8000 IUは1ヵ月後に急速に増加し、その後安定。
・副甲状腺ホルモン(PTH)に有意な差はなし。
8000 IUマウスでは骨密度が増加の傾向。
・ビタミンDの違いによる体重に有意な差はなし。
体脂肪と除脂肪量は1000 IUと8000IUで有意に減る。
・125 IUマウスは握力の低下、8000IUではどの時点でも減少がなかった。
・トレッドミルはビタミンDの影響なし。
・8000 IUマウスは、8週間後にバランスと協調の改善が見られ、12週間で大幅に改善
・125IUと1000IUはより老衰が増加したが、8000 IUでは増加なし。

考察

ビタミンDが過剰だと、4ヵ月後に他のグループに認められた老衰の進行を防ぐことがわかりました。以前の研究で若いあるいは中年期のマウスでビタミンDが影響していたように、高齢でもビタミンDの量で影響があることがわかりました。8000 IUグループでは骨密度が高くなる傾向が観察されました。

ビタミンDと体力の関係はいくつか研究されています。例えば、100歳以上の人や、130人の血液透析患者でビタミンDが少ないと握力が弱いことや、ビタミンDが20 ng/ml 以下の70〜89歳の老人はバランスや歩行テストでスコアが低かったなどです。2694人の高齢者で行われた研究では、身体能力の良かった人のビタミンDは40 ng/ml 以上でした。

私たちのマウスの研究では、生後6〜18ヵ月間ビタミンDが足りないと、握力の低下や歩行障害を示したことを報告しましたが、驚いたことにこの研究ではほとんど違いが見られなかったことです。考えられるのは、若い年齢でビタミンD欠乏になるのと違って、ビタミンDが十分だった老齢マウスがビタミンD欠乏を始めたということです。ビタミンD不足による身体能力の低下は人間では数十年、マウスは1年以上かかる場合があるためです。

私たちの発見では、ビタミンD不足による握力の低下が12週間までにだんだんと起こったことを示唆しています。さらに握力の低下と一致して、125 IUマウスでは逆グリッドハング時間が短くなったこともわかりました。

複数の研究で、ビタミンDと老衰との関係がわかっています。ビタミンDが20ng / ml以下で老衰との相関が2つの研究で出ています。私たちの研究からも老衰の進行を防ぐためにはビタミンDが推奨量より多いサプリや日光浴が必要であることがわかりました。ただしこの場合は高齢になってから急にビタミンD不足になったという実験なので、ずっと長い間ビタミンD不足だった場合のさらなる研究が必要だと思われます。

結論

今回のデータから、約60 ng/mL(8000IUを摂っていると血中濃度がこの濃度になる)という非常に多い量のビタミンDが、老齢マウス(24〜28ヵ月齢)の老衰の進行と握力低下を防ぐことを示しています。さらにビタミンDが不足すると、逆グリップの持久力が不十分でしたが、ビタミンDが過剰なマウスは一時的に落下試験のパフォーマンスが向上しました。

これは30 ng/mL以上のビタミンDは骨にはいいかもしれませんが、筋肉や前庭蝸牛系など他の組織には最適ではないかもしれないということです。しかし急性のビタミンD不足でも過剰でも、有酸素および無酸素トレッドミルの持久力、歩行速度、オープンフィールド活動などの身体能力のに影響はありませんでした。性別にかかわらず、高齢においての身体機能や老衰に対するビタミンDの働きを知るためにさらに研究が必要です。

参考文献

🔴 Vitamin D Insufficiency Reduces Grip Strength, Grip Endurance and Increases Frailty in Aged C57Bl/6J Mice
Nutrients (2020). 2020 Sep 30;12(10):E3005. doi: 10.3390/nu12103005.

seigoの追記

先日の研究発表では新型コロナに十分対抗できるビタミンDの血中濃度は「40ng/mL」であることが判明しましたが、今回は老化の進行を遅らせるには「60ng/mL」が良いそうであることが分かりましたね!

1つ気をつけたいところは、ビタミンDは脂溶性なのであまりたくさん摂るとよくないのでは?っと言われています。

特にビタミンDとカルシウムのサプリと一緒に摂ることは良くないとされています。(別の時間にとればOK)

ただ今回の研究結果はマウスを使った実験なので、これが本当に人に当てはまるのは、次の結果が待ち遠しいところです〜 😄

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