岐阜大が歯髄細胞からiPS細胞を樹立!/歯の再生に一歩前進か《論文速報シリーズ》

速報記事

(本日はiPS細胞の速報ニュースをお届けします。幹細胞に詳しくない方にはちょっと難しいかも。)

「岐阜大ら、ガン誘発リスクを低減できるiPS細胞誘導方法の米国特許を取得」(マイナビニュース)
論文タイトル:The homeobox gene DLX4 promotes generation of human induced pluripotent stem cells
(タイトル和訳:ホメオボックス遺伝子DLX4は、人間の人工多能性幹細胞の生成を促進します)
論文URL: https://www.nature.com/articles/srep07283
プレスリリースはこちら: 従来よりガン誘発リスクを低減できるiPS 細胞誘導方法の特許を米国で取得(PDF)

人の歯の中心の細胞からiPS細胞樹立に成功

歯の断面図を見ると歯髄は歯の中心でその中に「血管」「血液」「神経」「間葉系細胞」などが存在している環境から作ったようです。

そこから成長してきた細胞をヒト歯髄細胞 [ human dental pulp cells (DPCs) ] と名付けて、iPS 細胞を作成する研究をしたようです。

成熟した人からとった歯髄細胞より、未成熟(たぶん子供)からとった歯髄細胞の方が iPS 細胞になる確高かったとのことです。(よくある話です。若い細胞のほうが iPS 細胞が作りやすいものです。しかしこれは歯髄細胞は歳とともに老化することを意味していますね。造血幹細胞と同じですね。)

今回の発見は c-Myc よりDLX4 を使った方が 歯髄細胞から iPS細胞を作るときに効率がよかったという結果です。


DLX4とは

DLX4 distal-less homeobox 4 ことでホメオボックス遺伝子の一種です。

つまり遺伝子の発現制御に関わる因子で、ホメオボックス遺伝子といえば発生の時に前後軸や体節制を決定するのに関わっている遺伝子です。

DLX遺伝子は、最終的に分化したニューロンで通常発現される一連のタンパク質を抑制することによって介在ニューロンの移動を促進し、樹状突起および軸索の伸長を促進するように作用することが示唆されています (“DLX gene family” in Wikipedia, Reference 12 )


この論文の Discussion のポイント

  • DLX遺伝子群は頭蓋神経堤細胞および後に頭蓋顔面間葉に発現することが知られています
  • DLX4は異常なヒトの歯の形成と密接に関連していることが示されています
  • DLX4の発現は内因性のc-MYCをアップレギュレートしませんでした(造血細胞では「関係していた」という報告がありますが)。

遺伝子の導入方法

山中先生が初期に使用していたレトロウイルスで導入しています


DLX4はどういうシグナル伝達系に関係している?

DLX4は詳細について不明の部分も多いですが、TGFβのシグナル伝達に関わること分かってきています

そこでTGFβ刺激下でiPS誘導を行った、有意な誘導効率の低下を観察しました。

また細胞間のsmadシグナルを調べた限りでは差は観察されませんでした。

これらのことから、DLX4TGFβシグナルの他の経路(Smadシグナル以外)に関与している可能性が示唆されました。


c-Myc

c-Mycは発がん性の恐れがあると言うことで、別の遺伝子でiPS細胞を作る方法は開発されていて私も別の遺伝子をiPS細胞樹立に使っていました。

c-Mycの代わりにDLX4を使うのは歯の細胞をiPS細胞にするのに良さそうですね。

他の細胞に使えるかは試して見ないとわからないですね。

 

質の良いiPS細胞を作れるようになって、自分の歯を再生させることも(自分の細胞を使って)いつか可能になるかもしれません

Seigo

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参考資料

従来よりガン誘発リスクを低減できるiPS 細胞誘導方法の特許を米国で取得(PDF)

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